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歴史に学ぶコロナ対策

2021/1/4 6:40

 70年以上も前の作品が世界中で読み直され、驚いているだろう。フランスのカミュの小説「ペスト」が昨年来、新型コロナに震える国々でベストセラーに。今、どう行動すべきかを知ろうと人々が手に取る。きょうはその文豪の命日▲流行の病に直面した人間の姿はさまざまに記されてきた。菊池寛の「マスク」はスペイン風邪予防に余念のない男の話。ところが自分がマスクをやめた後、着けた人を見ると不快になる。病を巡る複雑な心理をつづる▲未知の病にどう対処するか。先人の経験や歴史に学ぶことは多い。多忙の菅義偉首相もそう思い立ったか。昨年暮れに買い求めたのは、歴史家磯田道史さんの本「感染症の日本史」▲疱瘡(ほうそう)が流行した江戸時代、岩国藩は患者の生活費も負担して隔離政策を採ったという。名君の誉れ高い米沢藩主、上杉鷹山(ようざん)は患者支援に尽力。医療格差にも目を配った。そんな古今の史書や日記に教訓を探り、著者は必要な政策やリーダー像を問う▲コロナ禍に正月休みはない。感染拡大は止まらず、医療崩壊が迫る。緊急事態宣言を出すよう、首都圏の知事らが政府に求めた。歴史に学んだはずの首相は、きょう年頭会見で何を語るだろう。 

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