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「8割おじさん」の新たな試算

2021/1/8 6:48

 小欄では「不死身の脇役」との別れを惜しんだばかりだが、この人も命懸けだったそうだ。「8割おじさん」の異名がある理論疫学者の西浦博さん。「新型コロナ」を冠した新著から、今なお続く苦闘を知る▲昨春の緊急事態宣言で人との接触を「最低7割、極力8割」減らそうと政府は呼び掛けた。この8割が西浦さんらによる分析だったが、政府側が「最低7割」を挿入したという。経済を回そうとする側とのせめぎ合いに、いや応なしに投げ込まれた▲著書に「生まれて初めて殺害予告を受けました」とある。緊迫の日々から、やがてひとときの平穏が戻ったものの▲きのう1都3県に再び緊急事態宣言が出された。1カ月と区切るが、東京都の1日の感染者数を100人以下にするには2カ月を要す―と西浦さんは試算した。2500人に近づいた数字を25分の1に絞るには、かなりの努力が必要だろう。しかも、政治への信頼なしには難しい▲「国会議員の会食ルール」うんぬんの話がいまだ続くことにあきれ果てる。8割おじさんのマイクは置いて研究室に戻ったと、西浦さんはつづる。覚悟の上でまずマイクを握るべきは、ゆうべも会見した一国の宰相しかいない。 

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