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決別 金権政治

「汚い選挙」大胆改革を 法改正が必要7割【決別 金権政治】<第4部・地方議員本社アンケートより>(上)

2021/1/15 23:20
政治資金規正法の目的が書かれた条文。「政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与する」とうたう

政治資金規正法の目的が書かれた条文。「政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与する」とうたう

 ▽国会議員は意見割れる

 2019年夏の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件を受け、中国新聞社は広島県内の全地方議員を対象にアンケートの結果をまとめた。回答者の約7割が法改正が必要と答えるなど「政治とカネ」への問題意識が鮮明になり、具体的な提案も寄せられた。事件を教訓にどう行動していくべきなのか。地方議員の思いから糸口を探る。

 「広島県の選挙は何と汚いのかと思われているだろう。本当に情けない。このイメージを変える大胆な改革を」。ある東広島市議は、アンケートに率直な思いをつづっていた。

 事件が全国で報道され、県外の知人に「広島県はどうなっているのか」と驚かれた。選挙の投票率が下がる懸念もある中、政治への信用を何とか取り戻したいとの思いが強い。

 法改正の必要性を尋ねた設問では「政治資金規正法の改正が必要」と答えた。同法は政治家のお金の流れを透明化するため、政治団体の収支を政治資金収支報告書に記載して公開するよう定めるが、今回の事件では、水面下で現金をやりとりし、「買収の金」を自民党支部からの交付金として収支報告書に虚偽の記載をする政治家の姿をあらわにした。この市議は、報告書への記載を徹底して透明度を高め、違反した際の罰則を強化するよう求める。

 アンケートは、広島県の全地方議員を対象とし、8割超の450人から回答があった。法改正に関する問いでは、52・0%が「政治資金規正法、公選法ともに改正が必要」と答えるなど、計68・9%が法改正が必要との考えを示した。

 ▽誤った解釈懸念

 三次市議の山村恵美子(65)は両法の改正が必要とのスタンス。アンケートの記述欄には「法の規制からすり抜けられる現行法は改正が必要」と書き込んだ。

 山村にとって気になるのは、法律に対する政治家の知識や姿勢。候補者を当選させるためにお金を授受すると公選法の買収罪に当たるのに、政治資金規正法に従って政党支部などの政治団体を通じてやりとりし、収支報告書に記載しておけば買収罪に当たらないと誤った解釈をする政治家もいる。「有権者はきれいな選挙を求めている」。政治家が都合よく解釈する余地がないような改正を訴える。

 法改正の権限を持つ国会議員の意識を探るため、アンケートでは、県選出の国会議員たち12人にも両法の改正が必要かを尋ねた。

 ▽抜け穴どう防ぐ

 回答した与野党議員7人のうち、3人が「ともに改正が必要」と答え、1人は「政治資金規正法の改正が必要」と回答。一方で、3人は「法改正は必要ない」を選び、結果はほぼ半々に割れた。改正に肯定的だった4人のうち、3人は野党議員だった。

 政治資金規正法は、政治とカネの事件が起きるたびに、改正が繰り返されてきたが、今も抜け道が指摘される。政治資金に詳しい日本大法学部教授の岩井奉信(政治学)は広島で表面化した問題を受け、買収に利用されかねない政党支部間の資金提供を禁止するなどの法改正が必要と強調する。

 早稲田大政治経済学術院教授の河野勝(同)は「法改正で一つの抜け穴をふさいでも、また別の抜け穴を作ることに政治家はたけている」と指摘。選挙運動の在り方も含めた骨太の議論を国会に求めている。(敬称・呼称略)

 <クリック>政治資金規正法と公選法 政治資金規正法は、政治活動が国民の監視と批判の下に行われるようにする目的で、政治団体に政治資金収支報告書の提出を義務付け、寄付の限度額などを定める。公選法は適正な選挙を目的に掲げ、投開票や選挙運動のルールを規定。候補者を当選させる目的で有権者や運動員に金銭などを渡すことを禁じる。政治資金規正法では認められても、公選法で違法となる行為があるため、専門家からは「二重基準」との指摘がある。

【決別 金権政治】<第4部・地方議員本社アンケートより>
(上)「汚い選挙」大胆改革を 法改正が必要7割
(中)住民協力「素人で十分」 車上運動員の法定報酬額「妥当」6割
(下)無縁の町議、不満相次ぐ 「被買収者辞職を」6割

【広島県地方議員アンケート特集】
※次のページがあります(項目クリックで各ページへ)。
<1>選挙のカネ 6割以上が「金がかかる」
<2>国会議員との関係 交付金など受領「ない」9割
<3>当選祝い・陣中見舞い 多くが議員同士のやりとり「なし」
<4>法改正 政治資金規正法・公選法「ともに必要」5割
<5>買収事件の教訓 7割「議員の意識改革を」
<番外>国会議員アンケート

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  •  2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

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