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【こちら編集局です】広島県と広島市、公共施設の休・開館の判断は 運営の協議・調整なく

2021/1/18 21:08
消毒液の設置など感染対策を講じ、開館を続ける県立図書館

消毒液の設置など感染対策を講じ、開館を続ける県立図書館

 ▽休館→広島市、コロナ対策で独自基準/開館→県、市民生活への影響最小限に

 新型コロナウイルス感染防止対策で、広島市内の図書館など市民に身近な公共施設の運営に関して広島県と市の対応が分かれている。市が施設の休館に踏み切る一方、県は開館を続ける。県による新型コロナの集中対策期間は18日、再延長されたが、それぞれの対応は変わらないままだ。「同じ市内で、同じような施設なのになぜ」。市内の団体職員男性(63)から編集局に疑問が寄せられた。県と市の判断の背景を探った。

 県は昨年12月12日に始めた集中対策の一環で、広島市民に外出機会の削減を要請した。これを受けて市は「1日の利用が500人規模以上」の施設を休館にする独自の基準を適用。対象は中央図書館(中区)や各区の図書館をはじめ、原爆資料館(中区)、安佐動物公園(安佐北区)、スポーツセンターなど計44施設に上る。

 市危機管理課は「中には利用者が1日平均1200人を超える施設もある。休館しなければクラスター(感染者集団)発生を食い止めきれない」と説明する。当初、今月3日までだった休館期間は県の対策期間延長に合わせ、17日までに延ばした。再延長されたため、さらに2月7日まで続ける。

 一方、県が管理運営しているほぼ全ての市内の公共施設は対策期間中も利用できる。1日平均533人(昨年10月現在)が訪れる県立図書館(中区)では、閲覧席の半減、飛沫(ひまつ)防止のパーティション設置といった感染対策を講じた上で開館している。

 県は集中対策の再延長で飲食店に加え、市全域で図書館や美術館も営業時間短縮(午前5時〜午後8時)の要請対象にし、対策をより強めた。しかし、やはり県立施設は休館しない。

 なぜ、市と同様に休館しないのか。県立図書館を所管する県教委生涯学習課は「開館による感染リスクや休館の対象について明確に線引きすることは困難」とする。より厳しく対応した市と、感染拡大を抑えながら市民生活への影響を最小限にしたい県。それぞれのスタンスの差が浮かび上がる。

 休館の是非を巡っては、市民にさまざまな意見がある。市と県の対応はどちらにも「理」があるだろう。

 ただ取材していると、首をかしげることがあった。集中対策期間中の公共施設の運営を巡り、県、市はそれぞれ対応を報告し合ったものの、具体的な協議や調整をしていないという。県と政令指定都市の「二重行政」との言葉がちらつく。

 県と市がばらばらの対応を取っていては、市民には分かりにくい。行政が市民に感染拡大阻止への協力を求める中で、危機感が伝わりにくい恐れもある。「足並みをそろえて対策を取らないと、結局は市民任せになる」。編集局に疑問を寄せた男性はそう指摘する。県と市は、コロナ禍に対応した連携の在り方を見詰め直すべきだろう。(木原由維) 

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  • 休館期間の再延長を知らせる広島市立中央図書館の張り紙

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