高島俊思(たかしま・しゅんじ) 移住した島の「親」
安芸灘とびしま海道の下蒲刈島(呉市)に移住して6年がたった。周囲では誰一人知る人がいなかった島への夫婦でのIターンは、少し緊張感を持った挑戦だった。移住して早々の4月初め、夕飯時に「ピンポーン」とチャイムの鳴る音が…。玄関を開けると焼酎の一升瓶を持つ地域のおじちゃんだった。そのおじちゃんはお酒が大好きで、地域のこと、奥さまとのなれ初め、お孫さんの話などを冗舌に話した。そんな突撃訪問が週2、3日続き、「ピンポーン」の音に、夫婦で顔を見合わせて苦笑いするようになった。そんな私たちに、おじちゃんは焼酎をぐいっと飲んで「『息子』の家に来るのに事前に連絡することなかろう」と笑った。
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