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「黙活」

2021/1/31 6:43

 姿勢が崩れたり心が乱れたりすれば「喝」が飛んでくる―。そんな先入観が裏切られた。コロナで集うのが難しい今、ネット空間で寺などが催している座禅会。おしゃべりが許されないお堂を前にしてもリラックスできる▲禅宗の寺では座禅堂のほかにも、風呂とトイレでは誰とも話してはいけないという。3カ所は「三黙道場」とも呼ばれている。僧侶にとっては、生活すべてが修行ということなのだろう▲これからのライフスタイルにも、「黙」が加わるかもしれない。飛沫(ひまつ)感染を防ぐため、食事中の会話を控える「黙食」の呼び掛けが全国の飲食店に広がっている。火付け役となったのは、福岡市のカレー店。自作のポスターをネットで無料配布し、話題になった▲時短や休業要請に応じぬ飲食店などへの罰則を巡り、国会で議論が続く。おしゃべり抜きで食事するのは、もどかしい。それでも「黙食」が受け入れられたのは、問題は店ではなくマスクをせずに話す行為だと多くの人が認めているからに違いない▲銭湯での「黙浴」、筋トレならぬ「黙トレ」なる造語も聞こえてくる。コロナ退治には「黙活」も仕方ない、か。これも修行だと一人つぶやいてみる。 

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