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コロナ自粛と国会議員 立場を分かっているのか

2021/2/3 6:40

 国民に自粛を求める立場をあまりに軽んじていたのではないか。新型コロナ特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されたのに、菅義偉内閣の副大臣や連立与党の幹部らが深夜、東京・銀座のクラブに繰り出していた。

 国や自治体の要請に応じない国民には罰金や懲役刑を与えられるよう、感染症法の改正などの準備を進めながら、自分たちは今まで通り自由に振る舞う。これでは、世論が強く反発するのは当然だろう。

 自民党の松本純・元国家公安委員長ら3人の衆院議員はおととい離党に追い込まれた。うち田野瀬太道氏は文部科学副大臣を更迭された。自民党は、除名ではなく離党を勧告して、お茶を濁した。そうではないと言うのなら、同じ与党でなぜ対応にこれほど差が付くのか、きちんと説明すべきである。役職を辞めて離党したくらいで、国民の怒りが消えるはずはない。

 公明党の遠山清彦幹事長代理は先週、資金管理団体が福岡市のキャバクラなどに「飲食代」約11万円を支出していたことも判明し、役職を辞めた。それでも支持団体の批判は収まらず、おととい衆院議員を辞職した。秋までに実施される次期衆院選にも立候補しないという。

 もちろん、出処進退は個々の議員の判断次第である。

 しかし松本氏は虚偽の説明までしていた。党の国対委員長代理を辞めた際は、銀座のクラブやイタリア料理店を含めて訪れた三つの飲食店には全て1人だけで行き、要望や陳情を聞いていたと述べていた。

 実際は、田野瀬氏と、議院運営委員会理事だった大塚高司氏、2人の女性と一緒と行っていた。後輩議員2人をかばおうと隠していたと弁明している。それを良いことに、後輩の2人も口をつぐんでいたのだろう。国民にうそをつき、平然と隠蔽(いんぺい)を図るような人に、国会議員の資格があるのだろうか。

 菅首相はきのうの参院本会議で「率先して範を示すべきところ、あってはならないことで極めて遺憾だ」と改めて陳謝した。閣僚には、いま一度、身を引き締めるよう指示した。

 ただ問題の根っこは深い。菅氏が官房長官として支え、「1強」と言われた安倍政権以来のおごりに加え、新型コロナに対する危機感や緊張感の薄さの表れではないか。

 昨年12月には、緊急事態の再宣言前とはいえ、菅首相、二階俊博幹事長らが会食していた。首都圏への宣言後、元幹事長の石破茂氏や石原伸晃氏がそれぞれ会食していたことも発覚。いずれも批判を浴びたのに、今回の4人は何ら教訓を得なかったのか。自粛で我慢を強いられたり職を失ったりしている国民の苦労になぜ思いをはせることができないのか、甚だ疑問だ。

 コロナ禍でも給与を自ら減らさない国会議員が自分たちだけ特別扱いしているようでは、政治不信は一層高まりかねない。

 4人以外にも身の処し方を問われるべき議員が多い。政治とカネを巡る疑惑を持たれたり、人権感覚を疑われる発言を繰り返したり…。それぞれがまず襟を正すべきだ。所属政党が辞職を促すことも求められよう。

 同時に私たち有権者も、議員の資質や適性を見極める力をさらに付けておきたい。次の選挙では間違えないために。 

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