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案里被告が議員辞職 公選法違反控訴せず、4月に参院広島補選

2021/2/3 23:34
河井案里被告

河井案里被告

 2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で公選法違反罪に問われ、一審の東京地裁から有罪判決を受けた河井案里被告(47)=参院広島、自民党を離党=が3日、議員辞職した。辞職に先立ち控訴しない考えも示した。参院広島選挙区補選は4月25日投開票の衆院北海道2区、参院長野選挙区と同じ日程となる。改めて「政治とカネ」の問題が焦点となり、野党は菅政権との対決姿勢を強める。

 【案里被告コメント全文】克行被告の公判理由に「詳しい説明叶いません」

 案里被告は秘書を通じて参院に辞職願を提出。本会議で許可された。公の場に姿を見せずコメントを発表した。判決に納得できないとしつつ「たとえ一審でも信頼を回復できなかったことは政治家として情けなく、政治的責任を引き受けるべきだ」と説明。「これ以上争いを長引かせ混乱を生じさせるのも本意ではない」と控訴しないとした。

 控訴期限は今月4日。検察側も控訴しないとみられ、東京地裁が1月21日に言い渡した懲役1年4月、執行猶予5年の有罪判決が確定する見込みだ。同判決は、夫で元法相の克行被告(57)=衆院広島3区、自民党を離党=と共謀して広島県議4人を買収したと認定しており、同じ裁判長が担当する克行被告の審理にも影響するとみられる。

 一方で案里被告は説明責任に関し、克行被告の公判が続いていることを理由に「現段階における詳しい説明がかなわない」とした。

 案里被告は昨年6月18日に克行被告と共に検察当局に逮捕された。同年10月に保釈後も国会に一度も出席しなかった。給与に当たる歳費や文書通信交通滞在費は毎月受け取り続け、逮捕後に支払われた総額は2103万2005円に上る。有権者への説明を果たそうとしない姿勢と合わせ、批判が広がっていた。

 19年7月の広島選挙区では自民党が改選2議席の独占を目指し、現職の溝手顕正氏に加え、党本部主導で新人の案里被告を擁立。安倍晋三前首相や当時官房長官だった菅義偉首相らの強力な支援を受けた案里被告と、無所属現職の森本真治氏(現立憲民主党)が当選し、溝手氏が落選した。

 公示前に自民党本部は河井夫妻側に計1億5千万円を提供。溝手氏への提供額の10倍で、事件との関連が指摘された。提供の経緯や使途の詳細は現在も、菅首相や党本部から十分な説明がなされていない。

 与党内では新型コロナウイルス緊急事態宣言中の深夜に自民、公明両党幹部らが東京・銀座のクラブで飲食するなどして離党や議員辞職に追い込まれる不祥事が続出。参院広島を含む3補選は菅首相にとって初の国政選挙となる見通しで、結果は政権運営に影響を与えそうだ。

 克行被告は地方議員や後援会員ら計100人に2901万円を配ったとされ、東京地裁で公判中。判決言い渡しは春以降にずれ込む公算が大きい。(下久保聖司)

 かわい・あんり 2003年に広島県議選の広島市安佐南区選挙区で初当選。2期目途中の09年、知事選に立候補して落選した。11年に県議に復帰後、19年7月の参院選の広島選挙区で初当選した。宮崎市出身。慶応大大学院政策・メディア研究科修士課程修了。

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  •  2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

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