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議員の仕事、果たさぬまま/逮捕後も歳費、納得できぬ 案里被告辞職 広島県内の有権者憤り

2021/2/3 23:32
案里被告が議員辞職願を提出したニュースを伝える街頭の大型ビジョン=3日午後5時35分、広島市中区(撮影・川村奈菜)

案里被告が議員辞職願を提出したニュースを伝える街頭の大型ビジョン=3日午後5時35分、広島市中区(撮影・川村奈菜)

 2019年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で有罪判決を受けた河井案里被告(47)=参院広島=が3日、議員辞職した。事件について説明しないまま国会議員の座にとどまり、多額の歳費や手当を受け取り続けたことにも批判が集まっていた案里被告。「辞職は遅きに失した」「このまま幕引きは許されない」。広島県内の有権者から厳しい声が相次いだ。

 案里被告が広島県議時代に地盤とした広島市安佐南区。団体役員野間茂さん(74)は「議員の仕事を何ら果たさなかった。辞職は当然だ」と指摘。案里被告の陣営を取り仕切った元法相の夫克行被告(57)=衆院広島3区=についても「今すぐ辞める決断を」と求めた。

 公判で無罪を訴えた案里被告。控訴期限は4日に迫っていた。有罪が確定すれば当選無効で失職するのを前に、自ら辞職の道を選んだ。

 辞職願提出後に記者会見などは開かず、コメントを出した。克行被告の公判が続いているため「現段階で詳しく説明することはかなわない」と理解を求めた。判決には「納得しかねる」としながら「政治的責任を引き受けるべきだ」とし、控訴しない考えを示した。

 このタイミングでの辞職に、中区の会社員戸川康史さん(43)は「失職を回避して自分のメンツを守るかのようだ」。呉市の飲食業戸田美佐子さん(70)は「遅すぎる。案里被告に期待していた分、がっかり」と突き放した。

 事件の説明を尽くすよう求める声も目立った。「被買収者が認める中で無罪を主張し、説明責任も果たしていない。辞職だけでは済まされない」と北広島町の農業高木茂さん(66)。三次市のパート従業員常久マリ子さん(70)も「有権者に背を向けたまま幕引きをしてほしくない。事実をしっかり説明して」と望んだ。

 案里被告は昨年6月に検察当局に逮捕され、10月の保釈後は一度も国会に出席しなかった。この間も給与に当たる歳費や手当を受け取り続け、逮捕後の総額は2103万円に上る。しかし、歳費法などに返還を求める規定はない。

 「ずっと税金を払っている身からすると納得できない」。福山市の平木洋子さん(80)は憤りを隠さない。尾道市の造船関連業山内啓司さん(75)は「法律にも欠陥がある。みんなが納得できる形に改正してほしい」と求めた。

 広島市の市民団体「河井疑惑をただす会」の山根岩男事務局長は、被買収者が立件されていない点を問題視する。「このままでは、また同じことが起きるのではないか。検察は一日も早く被買収者を立件してほしい。中でも選挙で選ばれた議員は区切りを付けて辞職すべきだ」と強調した。

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