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【緊急連載 案里参院議員辞職】<下>買収の原資うやむや 核心に迫る質問かわす

2021/2/4 23:06
白いスーツ姿で国会に初登院した案里氏。「常に勉強する政治家を目指す」と意気込みを語っていた(2019年8月1日)

白いスーツ姿で国会に初登院した案里氏。「常に勉強する政治家を目指す」と意気込みを語っていた(2019年8月1日)

 「表に出て、有権者に誠意が伝わるような対応を取ってほしかった」。河井案里元参院議員(47)の辞職を知り、当時の陣営関係者は残念がる。「政治センスがあった。国会議員としていい仕事ができたと思うが…」

 宮崎県出身の案里氏は、克行被告(57)=衆院広島3区=と2001年の結婚を機に広島市へ転居。29歳だった03年、広島県議選に出て初当選した。当時、県議会に女性議員はゼロだったこともあり、注目を浴びた。

 ▽不正追及で頭角

 頭角を現したのは06年3月の県議会予算特別委員会。当時の藤田雄山知事(故人)の後援会不正事件を巡って追及し「男らしくなさいよ」と辞職を迫った。藤田氏の後継を争う09年の知事選に立候補した。

 結果は落選。同じ新人候補だった湯崎英彦現知事に敗れた。11年に県議に返り咲いたが、「反知事派」とみなされ、非主流派の自民党会派に所属した。

 転機は18年秋。案里氏によると、自民党の二階俊博幹事長から19年7月の参院選への立候補を打診された。克行被告からも「あんたは政治の子」と背中を押され、党本部の支援を受けて広島選挙区で当選した。8月の初登院は「清潔な感じにできれば」と、白いスーツ姿で臨んだ。

 しかし10月末に選挙違反疑惑が浮上。参院選で県議らに現金を配ったとして20年6月に逮捕され、疑惑解明の場は司法に移った。

 法廷で無罪を訴える案里氏は、よどみなく語る一面を見せたかと思えば、核心に迫る質問を「記憶がない」とかわす場面も目立った。同じ会派だった県議4人が「被買収者」として出廷し、現金授受の場面を具体的に述べ「違法な金と思った」などと証言したが、案里氏は「県議選の当選祝いだった」などと主張。1人については「差し上げた記憶がない」と不自然な回答を繰り返した。

 「現金を受領した議員が詳細に証言しているのに、無理があった」。案里氏を知る広島市議は苦言を呈する。

 自民党本部が参院選前に夫妻側に提供した1億5千万円の使途にも注目が集まったが、検察側は公判で言及しなかった。案里氏が弁護人の被告人質問で「たんす預金からだった」と答える場面があったが、この発言を額面通り受け取る雰囲気は検察側にはなかった。党本部は資料が検察当局に押収されたことを理由に説明しておらず、今も謎に包まれたままだ。

 ▽文書の発表だけ

 検察当局が夫妻の事務所を家宅捜索した20年1月、案里氏は記者団の取材に応じた。捜査への影響を理由に具体的な説明をしなかったが、「後日、きちんと説明する」との文書を配った。

 しかし、その後も案里氏による説明はなかった。議員を辞職し、控訴しない考えを表明した3日も1枚の文書を発表しただけ。克行被告の公判への影響を挙げて「詳しいご説明がかないません」と書かれていた。

 「説明責任を果たそうとする姿勢は感じられなかった」と同市議。「無罪主張を貫くなら、控訴して徹底的に戦うべきではないか。中途半端で、真実の解明がうやむやに終わった印象だ」と突き放した。

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