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森氏の女性蔑視発言「時代錯誤」「心底怒り」【こちら編集局です】

2021/2/5 22:55

 ▽批判が大半、男性も問題視

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言を受け、編集局は5日、無料通信アプリLINE(ライン)でつながる読者に受け止めを尋ねた。寄せられた約200件の声は、発言への批判が大半を占めた。ツイッターでも「#わきまえない女」との検索目印(ハッシュタグ)を付けた抗議の投稿が拡散しており、「上から目線」「そんな時代はもう終わった」といった反発も相次いだ。

 森氏の問題発言は、3日の日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で飛び出した。「女性がたくさんいる会議は時間がかかる」「女性は競争意識が強い」などと語り、国内外から批判が噴出した。

 「時代錯誤。あまりに世間からずれている」。大竹市の主婦(63)はそう強調する。広島市安佐南区の主婦(53)は「女性が抑圧されてきた痛みを理解しようとしない無神経さに、心底怒りを感じる」と憤った。

 安佐北区の主婦(58)は20年以上前の職場の上司を思い出したという。「『男性は出世を気にして上司に黙って従うけど、女性はそんなこと考えないからあれこれ言って困る』と平気で言われた。いまだに同じようなことを言うなんて」と残念がる。東区の女性(51)は「トップに立つ人は、未来を見据えて切り開かなければいけないのに現実は逆」と指摘した。

 男性の多くも今回の発言を問題視する。「男が偉い? いつまで勘違いをしているのか」と安佐北区の男性(68)。中区の男性(68)は「『老害』そのものだ」と断じた。福山市の会社員男性(58)は「女性蔑視が根底にある。日本は国際社会から取り残されていくばかりだ」と嘆き、南区の男性(56)は「男尊女卑だからこのような発言が出る」と批判した。

 森氏の発言は「会議が長引く」に加え「組織委の女性はわきまえている」も注目を集めた。違和感を覚えた女性たちが、ツイッターの「#わきまえない女」のハッシュタグに反応し、抗議のつぶやきが拡散した。

 こうした動きに対し、安佐南区の50代主婦は「声を押し殺し、耐えていた女性の本音が噴出している」とつづった。廿日市市の女性(69)も「女はわきまえるべきだと受け取られていた時代はもう終わりなのに。わきまえるのは女だけか、といういら立ちの表れだ」と受け止めた。広島県熊野町の自営業女性(44)は「偉そうに、耳が痛い話や反論をするなということ。世の中とずれた考え方だ」と断じた。

 批判の高まりは、社会が少しは健全になったからとの受け止めもあった。南区の会社員女性(61)は「発言に違和感を抱く人が多いのは男女平等の意識が高まっているから」としたためた。廿日市市の女性(66)は「現状を維持しないため、市民は『わきまえない』人になって意見や思いを発していかなければ」と訴えた。(小林可奈)

 【識者談話】

 ▽差別許す空気 直視を/広島大ハラスメント相談室(東広島市)横山美栄子教授

 日本の男女平等、女性活躍がいかに遅れているかをあらためて可視化した発言だった。「わきまえる」という言葉には、女は発言を控えるべきだという本音が透ける。同質な集団「ボーイズクラブ」で過ごしてきた男性にとって、上に従う「イエスマン」以外は厄介な存在に映るのだろう。その場にいたメンバーから笑い声が上がったことも見過ごせない。「個人の発言」で終わらせず、社会にいまだに男尊女卑という差別を許す空気がある事実に、しっかり目を向けるべきだ。

 ▽意思決定 多様さ有益/県立広島大大学院の木谷宏教授(ダイバーシティマネジメント)

 日本社会は、男性で健康で24時間闘える人が集まった「おじさんパラダイス」で高度経済成長を経験した。同質性の高い集団での意思決定は「話が早い」のだろう。しかし人口が減りゆく今、性別や年代、国籍を問わず多様な人が関わらないと経済も社会も回らない。意思決定には時間や手間がかかるが、技術革新やアイデアが生まれ、組織も活性化する。そこに向けて日本も遅ればせながらシフトしている。今後はいい意味での「わきまえない人」こそ求められるだろう。

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