帰ってきたアスリートたち
2021/2/9 6:45
「お帰りなさい」。テレビ画面に声を掛けたくなる。急性白血病と診断されて2年。競泳の池江璃花子選手が50メートル自由形で2位に入り、晴れの表彰台に戻ってきた▲1年近く療養し、退院直後は頬がこけていた。それがスタートでわずかに出遅れたものの、ぐいぐい追い上げていく。「次はバシッと決めたい」。写真撮影が終わるとすぐ、首の銀メダルを外したそうだ。ひたむきな向上心に見る側が元気をもらう▲きのうの本紙には、ほかにも「ただいま」組のアスリートが勢ぞろい。米国から8年ぶりに戻ったプロ野球の田中将大投手が初ブルペンで40球を投げれば、スキージャンプW杯で2連勝と強さを取り戻した高梨沙羅選手は白い歯を見せている▲地元ゆかりは広島ガス所属のスノーボード竹内智香選手。3季ぶりに戦うW杯のパラレル回転で見事3位の復活劇を演じた。旗門がなぎ倒されるほどの強風にも動じなかったというから、ベテランは経験がものをいう▲一方、テニス全豪オープンでは残念ながら錦織圭選手が初戦敗退した。おととしの右肘故障、昨年の新型コロナ感染を思えば、仕方あるまい。焦らずに試合の勘が戻るまで、「お帰り」は取っておこう。
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