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福島・宮城で震度6強 「複合災害」に備え急げ

2021/2/16 6:42

 13日夜、福島県沖を震源にマグニチュード(M)7・3の地震が発生し、福島、宮城両県は最大震度6強の揺れに見舞われた。2011年3月に起きた東日本大震災の余震だという。

 地球の持つ底知れぬエネルギーに、おののいてしまう。50億年近い地球の時間軸からすれば、10年の歳月など、何と言うこともないのかもしれない。

 折から、新型コロナウイルスの感染拡大が至る所に及んでいるさなかでもある。自然災害によって「複合災害」が起きうると、かねて警戒していた事態が現実のものとなった。

 日ごろからの備えや想定に隙はないか、あらためて問い直されたと受け止めたい。

 今回の地震は震源が55キロと比較的深く、海底の変形が限られたため、大きな津波を招かずに済んだ。震源がもう少し浅く規模が大きければ、被害を伴うような高い津波が発生した恐れもあったという。「ぎりぎりだった」とした、政府の地震調査委員会の見解は警鐘でもあろう。

 その半面、東北から関東にかけての広い範囲に震度4以上の大きな揺れが伝わった。あおりで、暮らしを支えるライフラインに影響が及んだ。

 停電は一時、東京電力エリアの8県で最大約86万戸、東北電力エリアの4県で約9万戸に上った。停止した火力発電所も一時は16基を数えた。停電が半日もせずにほぼ復旧したのは、被災者には心強かろう。

 気になるのは、東京電力福島第1原発の5号機と6号機で生じたトラブルである。使用済み核燃料を貯蔵しているプールから、冷却水の一部があふれ出したという。日中の時間帯なら、社員や作業員にかかる危険はなかったのだろうか。

 支障が出たのは、交通網も例外ではない。東北新幹線では、架線を支える電柱や高架橋が損傷し、全線の運転再開までに日数を要するという。福島県の常磐自動車道では沿道の斜面が崩れ、一部区間の通行止めが上下線で続く。復旧が急がれる。

 1995年の阪神大震災や2016年の熊本地震のMと同規模だった割に、家屋の被害が比較的少なかったのは幸いだったといえよう。周期のやや長い揺れが小さく、木造家屋への損害は限定的だったとみられる。

 コロナ禍と地震との「複合災害」では初のケースだった。

 体育館に設けられた公的避難所では、間隔を取ってテント数十基が張られた風景も見えた。コロナ対策で自治体が用意しておいたものが役立ったという。はた目を気にせずに着替えができ、「3密」も防げる安心を実感したことだろう。

 福島、宮城で今回、避難所に身を寄せた住民は数百人にとどまったとされる。津波の心配がなかったため、冷静に自宅で待機した人も少なくあるまい。

 とはいえ地震はもとより、台風や大雨などによる気象災害との「複合災害」に警戒は怠れない。感染者が爆発的に増加する「オーバーシュート」の可能性が高くなるからである。

 もし、コロナ感染が拡大中で、災害に伴う負傷者が多ければどうだったろう。どちらの治療を優先するか、医療が板挟みに陥った可能性も強い。

 東北地方では折あしく、荒天の追い打ちが懸念される。危機は、今も目の前にある。 

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