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震度6強、余震だからといって

2021/2/16 6:42

 東日本大震災の翌々年取材した人を、その後の政府主催追悼式の遺族代表として紙面でお見かけした。岩手県陸前高田市の浅沼ミキ子さん。臨時市職員の息子は住民を避難誘導していて津波にのまれた▲仕事中の子の姿を一瞬目にしただけに、母は悔やんでいた。「もっと高台に逃げて、と声を掛けていたら」。去来する思いを絵本にし、追悼式で「あなたが大好きだったこの街を、安心して暮らせる街にしますから」と天に伝えた。その式も政府が10年で一区切り付けるというが▲大地は人間が定めた「区切り」など知る由もない。おととい夜、震度6強の揺れが福島と宮城を襲う▲東日本の余震だと学者は口をそろえ、津波の心配はなかった。さまざまに教訓は生かされた。だが北海道や東北で過去最大級の地震が起きれば、30メートルの津波が襲う最悪の推計も既にある。福島第1原発の辺りなら再び敷地が浸水しかねない。いま一度、気を引き締める節目だろう▲週明けのワイドショーは地震のリポートもそこそこに、森喜朗氏の後任を何かレースの予想よろしく報じている。五輪の開催自体が見通せないのに。避難所に身を寄せる人、給水の列に加わる人の心境を思う。

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