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マラソン 新たな歴史

2021/3/1 6:04

 高低差は少ないが、終盤は向かい風が吹き、思うような記録は出にくいコースだという。しかし今年は追い風でも吹いたのだろうか。きのう滋賀県であったびわ湖毎日マラソンで、2時間8分を切る選手が15人も出た▲歴史に残るレースだからトップが日本記録を塗り替えたのも当然だろう。36キロすぎから独走、未到の2時間4分台を出した鈴木健吾選手である。愛媛県の高校生だった7年前には、ひろしま男子駅伝に初出場し、平和大通りや宮島街道を駆け抜けた▲大学3年の時は箱根駅伝で区間賞に輝いた。走力に加え、練習好きで冷静な性格、挑戦する姿勢がマラソン向きだと、早くから評価されていたそうだ。25歳の今、素質が開花しつつあるに違いない▲「歴史を変えた走りだった」。この大会でかつて優勝し、ソウル五輪の出場権を得た瀬古利彦さんは褒めちぎる。当の本人は「自分が一番びっくりしている。いい練習ができていた」。大物感漂う落ち着きぶりである▲数々の名選手たちと共に走ってきた大会だが、滋賀県でのレースは今回で幕を下ろす。最後に刻んだ記録はずっと記憶にとどめたい。3年後のパリ五輪に向けた、新たな歴史の始まりとして。

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