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入管法の改正案 難民認定の見直しこそ

2021/3/1 6:03

 政府は、入管難民法の改正案を閣議決定した。国外退去処分となった外国人の入管施設への収容が長期化している問題の解消を図るのが狙いという。

 退去命令を拒む人への罰則規定を設けるなど、在留資格がない人の速やかな送還に主眼を置く内容となっている。

 不法滞在が発覚した人の大半は自らの意思で帰国している。一方で長期収容者の多くは帰国を拒んでいる。帰国すれば身に危険が及ぶ恐れがあったり日本に家族がいたりするためだ。

 もちろん国外退去処分となった外国人には速やかに出国してもらうのは当然である。しかし何年も収容されながら帰国を拒み続けている人に、厳罰化の効果があるかどうかは疑問だ。

 長期化する収容の背景にあるさまざまな事情に目を向けなければ、問題の解決にはつながらるまい。人権上の観点から収容・送還制度を見つめ直し、慎重に国会審議を行う必要がある。

 不法残留して摘発された外国人は、送還されるまで原則として入管施設に収容される。2019年末の収容者は942人に上った。このうち462人は収容期間が6カ月以上に及び、3年以上の人も63人いた。

 長期収容が常態化する中、ハンガーストライキで抗議する外国人が相次いでいる。2年前には長崎県の施設でナイジェリア人男性が餓死した。これをきっかけに出入国在留管理庁が有識者会議を設け、法改正に向けて検討を進めてきた。

 改正案でとりわけ懸念されるのは、難民認定申請の回数制限だ。政府は、認定申請中は母国に送還しないとする現行法の定めに基づき、申請を繰り返す人が多いとみている。

 送還逃れを目的にした申請の乱用が収容の長期化を招いているとし、3回目以降の申請で原則送還できるようにする。自ら早期に帰国すれば、再来日できるまでの期間を短縮して優遇するという。

 だが日本は諸外国に比べて難民の認定率が極端に低い。19年には1万375人が申請したが、44人しか認められなかった。何度も申請してようやく認定されるケースも少なくない。

 本来は保護されるべき人が強制送還され、本国で弾圧を受ける恐れもある。日本が加わる難民条約にも反し、看過できない。難民認定制度の見直しこそ必要ではないか。

 収容の在り方にも大きな問題がある。国連の委員会などは、収容の必要性が入管の裁量で決められ、無期限の収容が可能になっていることを問題視し、繰り返し指摘している。

 改正案では、現行の「仮放免」に加え、一時的に施設外での社会生活を認める「監理措置」が新設される。支援者らが「監理人」として状況を報告する義務を負い、就労したり逃げたりすれば罰せられる。

 しかし外部のチェックが一切ないまま、入管の裁量権がブラックボックス化している根本的な問題は何も変わっていない。

 政府の改正案に先立ち、野党も対案を国会に提出している。難民認定のための独立機関を置き、収容は裁判官が判断することなどを盛り込んでいる。

 一定の透明性や人権への配慮などは評価できる。政府案の問題点を修正するためにも、積極的に取り入れるべきだ。

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