トランプ時代の効用
2021/3/8 6:35
いつの間にか米国発のニュースは、めっきり影が薄くなった。前の大統領が退いたせいもあるのだろう。非常識の塊みたいな言動や朝令暮改は、日本に住む身にも気が気でなかった▲その点、バイデン大統領は常識人らしい。散らかされたトランプを片付けるように施策を打つ。「腐っても米国」と一目置かせられるかどうか。はた目に興味深い半面、軌道修正は退屈にも映る。平らな道で眠気を誘われるのも、やはり人間である▲日本の政権にとっては、有権者の目をそらす効用もあったに違いない。トランプ氏と比べれば「こっちは、まだマシかも」と慰められた。森友・加計学園や「桜を見る会」の問題にもかかわらず、当時の安倍政権が支持率を保ったのを思い出す▲今や菅義偉首相は「トランプ時代」を懐かしんでいるのではないか。安倍政権を引き継いだものの、支持率が不支持率を下回る始末で思うに任せない。急がれるコロナ禍対策に加え、自らのまいた種とも言うべき総務省幹部の接待問題がのしかかる▲こんな体たらくでは、今度は海外から、思わぬささやきが聞こえてくるかもしれない。「日本を見てごらん。うちの政権の方がマシじゃないか…」
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