田辺雅章(たなべ・まさあき) 原爆が消した能どころ
2021/3/12 8:25
筆者は、のちに爆心地となる広島市の旧猿楽(さるがく)町に生まれ、産業奨励館(現原爆ドーム)の東隣の屋敷で育った。離れ座敷に板張りがあり、能楽の仕舞や鼓の稽古のためと聞いた。猿楽町は能と深い関わりがあり、芸州広島が城下町として開府して以来、能楽師をはじめ、囃子方(はやしかた)が住んでいた。隣にある細工町では能の衣装や楽器の修復を手掛け、職能町として存在した。
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