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桧山広島県議、12年間議長務め県政界に影響力 中央にも人脈【決別 金権政治】

2021/3/13 23:05

 ▽03年に会派分裂 非主流派に

 権力の座を巡り、自民党内で激しい争いが繰り返されてきた広島県政界。水面下では政治家同士の関係維持に金が介在する土壌もあった。1991年から2003年までの12年間、県議会議長を務めた同党の桧山俊宏県議(76)=広島市安芸区=の歩みを追った。

 桧山氏は91年5月、県議会では戦後最年少となる46歳で議長に就任。「県政界のドン」と呼ばれた父の故袖四郎氏に続く、初の親子2代議長となった。

 93年の知事選では、自民党の参院議員だった藤田雄山氏(故人)の擁立を主導。同党県議だった亀井郁夫・元参院議員(同)との激戦の末、当時44歳の藤田氏が全国最年少知事として初当選した。県政に対する桧山氏の影響力も高まった。

 もともと豪腕イメージがある中、「強い議会」を目標に掲げ、議会側からの政策提言に力を入れた。97年には全国都道府県議会議長会の会長に就任。中央政官界の人脈も培った。

 複数の議員や元議員によると、桧山氏は付き合いのある議員に飲食代や交際費を出すなど「親分肌」のスタイル。ある元県議は議長就任前の桧山氏から複数回、10万〜20万円の入った封筒をもらったと証言。「仲間をつなぎ留め、自分の勢力を維持する金。当時はそういうことをしないと議長になれない時代だった」と振り返る。

 桧山氏には資金力もあった。議長に就任した91年当時は七つの政治団体を持っており、県選管が公開した政治資金収支報告書の要旨によると7団体の収入の合計はその年、1億円を超えていた。

 「政治センスが別格」「指導力がある」などと評された半面、議長在任が長期化するにつれ、桧山氏が所属する自民党議員会では会派運営に対する不満も。03年4月、桧山氏の4期目続投に異を唱える林正夫氏たち13人が「桧山議長への反論を許さない極めて閉鎖的な姿勢だ」と訴え、新会派・自民党刷新会を立ち上げた。

 直後の議長選では、刷新会が他会派と協力して新田篤実氏(故人)を擁立。投開票の結果、新田氏37票、桧山氏32票、無効1票で、新田議長が誕生した。

 当時の県議会の定数は70人。桧山氏が所属する自民党議員会は、新田氏ら4人が離脱して32人になった。過半数割れはしたものの、依然として最大会派だった。林氏らの自民党刷新会が民主県政会などと多数派を形成し、議会を運営する新たな体制が始まった。

 当初、蜜月だった桧山氏と知事との関係も大きく変わっていた。2期目以降、藤田氏は財政難を理由に広島空港の軌道系アクセス整備などの大規模事業の中止、凍結を相次いで表明。桧山氏は批判姿勢を強めていた。

 両者の溝をさらに深める結果となったのが、05年に発覚した藤田氏の後援会不正事件。藤田陣営が過去の知事選で県議らに対策費を配ったとの疑惑に加え、自民党県連に裏金で「上納金」を払ったとの疑惑が浮かび、県連会長代行だった桧山氏の関与が取り沙汰された。県連と桧山氏は関与を否定した。

 知事、県議会とも真相解明ができない中、桧山氏が属する自民党議員会の提案で、県議会が06年12月と07年3月、藤田氏への辞職勧告を決議した。ただ、法的拘束力はなく、藤田氏は辞職しなかった。

 一方で、07年春の県議選では自民党系の現職10人が落選した。改選後の県議会では林氏が議長に選ばれ、自民党議員会は14人となった。09年の知事選では、議員会に属していた河井案里氏(47)=大規模買収事件で有罪確定=が立候補したが、林氏らが推す湯崎英彦現知事に敗れた。

 自民党議員会の縮小は止まらず、19年の県議選後に桧山氏1人に。一方、自民党刷新会を前身とする自民党議連は33人に膨らみ、過半数を占める。

 19年夏の参院選では、桧山氏が応援した案里氏が当選したが、大規模買収事件が発覚。20年6月に夫の克行被告(58)=公判中=とともに逮捕された。

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