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接待問題の国会質疑 「茶番」まだ続けるのか

2021/3/17 6:02

 総務省の接待問題で、放送事業会社「東北新社」と通信大手NTTの両社長が連日、国会に招致され、質疑が交わされた。ともに接待の目的や会話の詳細な中身などは明らかにせず、行政がゆがめられていたとの疑惑が晴れることはなかった。

 それどころか、NTT側との会食の有無さえ答えない菅義偉首相や武田良太総務相と口裏を合わせたかのような答弁も目立った。こんな「茶番」をいつまで続けるつもりなのか。

 モリカケや「桜を見る会」問題に象徴される安倍前政権の延長なのだろう。政治の私物化である。身内や仲間、支持者を特別扱いする姿勢に、公平であるべき官僚や、業界まで感化されていないか。そんな体質まで掘り下げた解明が求められる。

 国会質疑では、官僚との癒着を疑わせる証言が、東北新社の中島信也社長から出た。同社は2017年8月、放送法で定められた外資規制に違反していることを認識し、総務省の担当課長に面会して伝達、違法状態を回避するため子会社を新設して事業を引き継がせる案まで相談していた、という。

 事実なら、総務省が違法状態を見過ごし、回避策にも協力したことになる。ただ当時の担当課長は「報告を受けた記憶は全くない」と国会で答えた。主張が真っ向から食い違っている。

 「記憶がない」という言葉がくせものだ。例えば接待問題の発覚時、関係幹部は業務に関する話題が出た「記憶はない」と、しらを切っていた。ところが録音された音声が公開され、認めざるを得なくなった。その時と同様、証拠が出てこない限り言い逃れられる―。そう考えていると疑われても仕方あるまい。

 そもそも接待攻勢は外資規制違反と関わりはないのか。総務相を務め、省内に影響力を持つ菅首相を念頭に、長男のいる東北新社に忖度(そんたく)したのではないか。疑問が次々に浮かぶ。

 一方、NTTの澤田純社長は「日ごろから各界有識者と懇談する場を設けている」と説明した。与野党の国会議員を含め多くの人と懇談しているから、総務省の大臣や幹部との会食は問題ないと言いたいのだろうか。通信や放送事業の許認可権を握る総務省の関係者と、何の権限もない国会議員を同列に論じることに無理がある。

 澤田社長は、菅氏や武田氏との会食の有無については「公開すると事業に影響がある」として明らかにしなかった。まともに答えなかった両氏に忖度したのだろうか。

 武田氏は、菅氏の長男との会食は「なかった」と国会で答えていた。にもかかわらずNTTについては「個別のことには答えない」と逃げるのでは筋が通るまい。国会軽視も甚だしい。

 総務省は、第三者でつくる検証委員会を設け、接待が行政に影響を与えたか調べる方針だ。きのう辞職を認めた谷脇康彦・前総務審議官ら退職した幹部に対しても、在職中の接待について厳しく調べるべきである。

 国民の疑いを晴らすには、まず事実関係を明らかにすることが必要だ。参加者や事業者側の狙い、会話の中身、費用負担の状況などである。それが分かって初めて、禁じられている行為かどうか、はっきりする。判断するのは、国民であって、会食の当事者たちではない。

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