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「俺の家の話」

2021/3/25 6:33

 あすで最終回のテレビドラマ「俺の家の話」がほかと違うのは、劇中の人物が皆、マスクをしていることだ。令和時代のホームドラマとしてコロナ禍の日常をきちんと描く姿勢を感じる▲能楽師一家を巡り、介護の問題や父子のわだかまりも絡んでドタバタが繰り広げられる。コミカルな半面、家族ゆえの愛憎相半ばするせりふは胸に迫る。鼻から下を隠したままの演技は俳優陣も難しい挑戦だったろう▲この1年余り、初対面の時からマスク姿しか知らない人が増えた。ふとした瞬間に素顔を見て、「意外と、とっつきにくそう」「思ったより柔らかい雰囲気なんだな」などと驚くこともしばしばだった▲以前は、相手の口元を見ながら会話の行間を埋めていた気がする。今は、目の動きや手ぶり、声色からマスクに隠れた表情を想像している。相手だって恐らく同じだ。こちらも、伝え方をもっと意識した方がよさそう▲「マスクなんて(略)いつまでやるの」。麻生太郎財務相が先週、記者に逆質問して、また物議を醸している。それは、こっちのせりふではないか。特効薬ができるまでの答えを教えて差し上げよう。「俺の家を出て、俺の家に帰るまで」ですよ。 

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