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プロ野球開幕 コロナ共存へ試金石だ

2021/3/26 6:39

 プロ野球がきょう、セ・パ両リーグで開幕する。広島東洋カープは本拠地のマツダスタジアムで開幕戦を迎え、中日ドラゴンズと戦う。

 球界全体を見渡せば、東日本大震災から10年の節目に米大リーグから田中将大投手が8年ぶりに東北楽天に帰ってくるなど、話題には事欠かない。

 復帰を喜ぶ東北被災地の人々をはじめ、全国のファンが待ちわびた球春到来だ。選手は勝利を目指して全力で戦うプレーを見せ続けてほしい。コロナ禍にあるからこそ、応援するファンを勇気づける「野球の底力」に期待している。

 そのコロナ禍は終息に向けた道筋が見えず、変異ウイルスの拡大も警戒される。球団など主催者側は選手たちの感染対策に注意を払うのはもちろん、球場での感染対策に万全を期す必要がある。安心して観戦できる環境づくりに力を注いでほしい。

 カープにとっては、2年連続のBクラスとなる5位に沈んだ昨季からの挽回を期し、3年ぶりのリーグ制覇、37年ぶりの日本一を目指す年になる。

 鍵となるのは投手陣の立て直しだろう。先発は右肘手術から復帰した大瀬良大地投手と、昨季新人王の森下暢仁投手を中心に顔ぶれは整った。手術明けの野村祐輔投手が本来の力を取り戻せば厚みも増しそうだ。

 最大の懸案は救援陣だ。抑えのフランスア投手が手術で脱落し、目算は狂ったものの光明もある。ドラフト1位の栗林良吏投手ら新人3人が評価を高め、開幕1軍入りを果たした。即戦力としての期待が高まるが、継投策が整うまでは攻撃陣が一丸となって援護したい。

 主軸の鈴木誠也選手らの奮闘はもちろんだが、連覇を支えた田中広輔、菊池涼介両選手の「タナキク」コンビの活躍が欠かせない。そこに新外国人選手の長打力がかみ合えば、リーグ上位の強力打線になるだろう。

 2年目となる佐々岡真司監督には昨季の悔しさと経験をバネにV奪還に突き進んでほしい。

 ファンの声援が大きな後押しになるが、コロナ対応で例年通りの応援風景は様変わりする。

 営業時間の短縮要請が続く地域に配慮し、今季は延長戦を行わず、九回で打ち切ることにした。選手交代のタイミングが早まり、引き分け試合が大幅に増えることが予想される。

 コロナ禍の影響で12球団に所属する外国人選手の半数以上が入国できておらず、主力を欠いたままシーズン入りするチームもある。いずれもペナントレースの行方に影響しそうだ。

 観客人数も当面制限される。

マツダスタジアムは収容人数の50%の1万6500人。首都圏などは1万人が上限となる。

 観客には昨季と同様、マスク着用が義務付けられ、応援歌など大声を出すことも禁じられる。一体感ある応援の醍醐味(だいごみ)は当面お預けになる。

 プロ野球は先に開幕したサッカーのJリーグとともに、コロナ禍で数多くの有観客試合を開催してきた。それでも試合会場での集団感染は確認されていない。その経験と知見の蓄積はコロナとの共存への試金石となる。今夏に東京五輪が開催されれば必ず生かされるはずだ。

 球団と地域、ファンが一体となって観客であふれるスタジアムの風景を取り戻したい。 

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