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1億5000万円、買収原資否定 克行被告、政界引退明言【激震 河井元法相公判】

2021/4/5 23:20
河井克行被告

河井克行被告

 2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で公選法違反罪に問われた元法相で元衆院議員の河井克行被告(58)の第52回公判が5日、東京地裁であった。克行被告は被告人質問で買収の資金について「手元資金から支出した」と説明。自民党本部から妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=の陣営に提供された1億5千万円は「一円たりとも買収資金に使っていない」と主張した。政界引退も明言した。

 克行被告が公判で買収資金の捻出元や1億5千万円の使途に言及したのは初めて。1億5千万円は選挙前に案里氏の政策や人となりをPRするため、選挙区の広島県内全域に3回配った自民党の広報紙の印刷や発送に充てたと説明。案里氏の事務所の開設費や人件費、賃料、通信費なども含めて全額を使ったと述べた。

 1億5千万円のうち1億2千万円は税金を原資とする政党交付金だった。克行被告は「買収資金を政党交付金から出す発想は全くない」と強調。異例の資金提供が決まった経緯には言及しなかった。

 克行被告は案里氏を当選させるため、地方議員ら100人に計2901万円を渡したとして起訴されている。その原資は「手元にあった資金から支出した。議員歳費などをためていた」と説明。「生涯にわたって選挙に立候補することは一切しない」と断言した。

 克行被告は全面無罪主張だったが、3月23日に始まった被告人質問で主張を転換。うち90人に渡した現金について買収の意図を認め、1日に議員辞職した。

 被告人質問はこの日で弁護側を終えた。6、8の両日は検察側が質問する。

 【解説】党本部、全容解明を

 河井克行被告は自民党本部からの1億5千万円を買収資金に使っていないと強調した。一方で、会計担当者の供述調書によると、1億5千万円の一部が、無報酬が原則の陣営スタッフ3人に対する運動員買収の資金に充てられたとされ、主張が食い違っている。党本部は全容を解明する必要がある。

 克行被告は5日の公判で1億5千万円の使途に初めて言及。妻案里氏をPRする党広報紙の配布費や人件費などに使ったと語った。

 ただ、2月の公判で検察側が朗読した案里氏陣営の会計担当者の供述調書によると、1億5千万円の一部が、陣営の一員だった野々部尚昭・愛知県稲沢市議や元石川県議ら3人への報酬に充てられ、計251万円の大半をまかなったという。この3人はこれまでの公判で証言するなどし、報酬の違法性を認めている。

 党本部が河井夫妻側に渡した1億5千万円は、同じ参院選広島選挙区で案里氏と争い、落選した自民党現職の10倍に当たる。党内外から批判や疑問の声が出ており、政治不信を高めている。党本部が提供の経緯や使途の詳細を明らかにしない限り、有権者の信頼回復はあり得ない。(中川雅晴)

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