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風は去れども残りぬ

2021/4/6 6:00

 米ジョージア州アトランタを舞台にした「風とともに去りぬ」は、南北戦争という風とともに、白人支配の社会が崩れ去っていく物語だ。その地で今、「風は去れども残りぬ」とでも題すべき騒動が起きている▲共和党が多数を占める州議会が先月、選挙関連法の改正案を成立させた。有権者が期日前の郵便投票をするには、顔写真付き公的身分証が不可欠という内容である。「郵便投票は不正の温床」と言い張ったトランプ前大統領の置き土産と言っていい▲州の人口の3分の1を占める黒人は貧困にあえぎ、車はむろん、運転免許証も他の身分証も持っていない人が多いとされる。法改正は、民主党支持が多い黒人層は選挙に来なくていいと排除しているに等しい▲すぐさま反発は広がり、大リーグ機構も、7月にアトランタで予定していたオールスター戦をよその球場に移すと発表した。ただ来年の中間選挙に向けて多くの州議会には、同様の郵便投票規制法案が提出済みという▲このところ米国内では、アジア系の市民が理不尽な銃撃や暴行を受ける事件が相次ぐ。南北戦争が終わって、はや156年。今なお、人種を差別し、社会を分断する「風」はやまぬのか。

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