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決別 金権政治

与野党幹部も攻防 参院広島再選挙、クリーンさ強調に腐心【決別 金権政治】

2021/4/8 23:57
(左)選挙カーに乗り込み、支持者に手を振って出発する西田氏=8日午前9時51分、広島市中区(撮影・山崎亮)、(右)出発式に集まった支持者に向けてポーズを取る宮口氏(手前)=8日午前9時20分、広島市中区(撮影・山本誉)

(左)選挙カーに乗り込み、支持者に手を振って出発する西田氏=8日午前9時51分、広島市中区(撮影・山崎亮)、(右)出発式に集まった支持者に向けてポーズを取る宮口氏(手前)=8日午前9時20分、広島市中区(撮影・山本誉)

 河井案里元参院議員(47)の当選無効に伴う参院広島選挙区の再選挙が8日告示され、事実上の与野党の一騎打ちとなった選挙戦の幕が上がった。最大の争点となる「政治とカネ」の問題を巡る攻防は、与野党の幹部を巻き込んで初日からヒートアップ。諸派新人の宮口治子氏(45)=立憲民主、国民民主、社民推薦=は自民党の「金権政治」を批判し、自民党新人の西田英範氏(39)=公明推薦=はクリーンな選挙戦を押し出して支持拡大へ踏み出した。

 「金権政治にノーの意思表示を」。宮口氏の陣営が午前9時半から、広島市中区の旧市民球場跡地前で開いた出発式。宮口氏は清らかさを印象づける白のジャケットをまとい、自民党の政治体質を切り捨てた。

 自民党から初当選した案里氏が公選法違反で有罪、当選無効となったのに伴う再選挙。宮口氏が副代表の政治団体「結集ひろしま」に呼応し、野党3党は、立憲民主党が蓮舫代表代行、国民民主党が舟山康江政調会長、社民党が福島瑞穂党首を送り込み、「政治とカネ」で攻め立てた。

 各党の女性幹部である3人は、案里氏陣営を巡る疑惑が明るみに出て以来、国会で安倍、菅両政権に対して河井夫妻の問題を追及してきた急先鋒(せんぽう)だ。「まるで昭和初期のような問題」「今の政治はうそで塗り固められ、ごまかされている」「カネで横っ面をひっぱたく政治」…。マイクでそろってまくしたてた。

 ▽党派色を薄める

 ただ、宮口氏自身が第一声で「政治とカネ」問題に割いた時間は、自身の演説時間の1割ほどだった。踏み込み不足との指摘はあるが、陣営幹部は「『政治とカネ』の一辺倒では、どこまで投票に結びつくのか分からない」と思案する。

 宮口氏は「先を考えて議論していかなければならない」と繰り返す。発達障害のある長男の子育てや、障害や病気のある人が持つヘルプマークの普及活動などの経験を丁寧に語り、「市民感覚」を押し出す。陣営は党派色を薄めようと知恵を絞り、自主支援を決めた共産党県委員会の幹部は第一声を聴かずに去った。

 ▽地方議員と距離

 西田氏は、宮口氏より30分早く、中区の選挙事務所前で出陣式を始めた。党本部から来援した山口泰明選対委員長は支持者への謝罪から入った。「党本部を代表し、2年前から続いた政治の混乱でご迷惑を掛け、深くおわびする」

 自民党県連幹部は「河井夫妻が起こした事件だが、有権者にとっては同じ自民党。有権者の目は厳しい」と気を引き締める。夫の克行被告や案里氏から現金をもらったとされる地方議員をできる限りかかわらせず、西田氏が持つ清新さを前面に出す考えを示す。

 「金権政治」のイメージを拭い去ろうと、陣営が急きょ用意したのが「#クリーン選挙」と記した独自のシールだ。出陣式では党所属の国会議員や地方議員が服の襟元に貼り、政治の信頼回復に取り組む姿勢をアピール。選挙期間中は陣営スタッフが服に貼り付けたまま活動する予定という。

 第一声で西田氏は「事件以降、多くの人がつらい思いをした。広島の政治を変えていきたい」と説いた。党への厳しい逆風に危機感を抱きつつ、国の政策の企画立案に携わった実績を踏まえ「世界に誇れる広島、前に進む日本を一緒につくりたい」と前を向いた。

 年内にある衆院広島3区の「与党代表」を巡るあつれきがあった公明党は、出陣式で石井啓一幹事長や地方議員が壇上に並び立ち、全面支援を約束した。自民党県連の岸田文雄会長(広島1区)は、こう呼び掛けた。「ばらばらになった県民の心を一つにする戦いだ。力を合わせ、厳しい苦しい戦いを勝ち抜く」(河野揚、宮野史康)

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  •  2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

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