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克行被告、「被買収」側の証言を次々否定 被告人質問が終了【激震 河井元法相公判】

2021/4/9 23:00

 ▽領収書断る気なかった/案里氏応援依頼「うそ」

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた元法相で元衆院議員の河井克行被告(58)の公判のヤマ場だった被告人質問が終了した。克行被告は全面無罪の主張を撤回し、広島県内の政治家に渡した現金の大半について買収の意図を認めた。ただ、領収書や現金提供時の言葉を巡り、「被買収」側の地方議員らの証言を否定する発言もみられた。

 地方議員や後援会員ら100人に渡した現金が、妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=を当選させる目的だったかが争点だったが、3月23日の被告人質問の初日に克行被告は主張を転換。「案里の当選を得たい気持ちがあったことを否定できないと今は考えている」と述べ、90人に渡した現金について買収の意図があったと認めた。

 ただ、県議や広島市議に現金を配った主目的は「私自身の政治的な思惑」とし「広島の政界で孤独感、疎外感があった。自民党県連会長になるのが一つの目標で、仲間がほしかった」と強調。「案里氏への支援を求める気持ちが一番だったのではないか」と追及する検察側の主張は否定した。

 こだわりを見せたのが、領収書を巡る地方議員とのやりとり。これまでの公判で自民党の豊島岩白広島市議ら4人が克行被告から現金を渡された際に領収書の発行を断られたと証言したが、克行被告は「『(領収書は)後でいい』と言った可能性がある。断る気持ちはさらさらなかった」と反論した。

 克行被告は「最終的には政治資金規正法に基づいて適切に処理しようと考えていた」と説明。後で領収書を発行してもらい、「合法」な資金提供として政治資金収支報告書に記載し、県選管に出す考えだったと述べた。

 このほか、首長や県議らが現金受領を拒まなかった理由として「国会議員に逆らうと、陳情を聞いてもらえないと思った」と証言した点にも反発。「地域の要望を顧みなければしっぺ返しを受け、自分の首を絞めることになる」「国会議員の下に県議がいるというのは一方的な見方」と語った。

 現金を渡す際に案里氏への応援を依頼する発言をしていないとも主張。自民党の砂原克規広島県議が「参院選よろしくと言われた」と証言したのを「うそだ」と断じた。また、「(現金受領を)覚えていない」と証言していた福山市の元広島県議には計60万円を提供したと認めた。

 雄弁さが目立った克行被告だが、案里氏が参院選の自民党公認候補に決まったいきさつを尋ねた場面では様子が変化。克行被告が18年11月に当時の安倍晋三首相らに面会し、働き掛けをしたかどうかなどを聞かれると、「覚えていない」「よく分からない」などと連発。古巣の自民党への配慮をにじませた。

 <クリック>参院選広島選挙区の大規模買収事件 衆院広島3区選出の自民党の衆院議員だった河井克行被告は妻の案里氏を当選させるため、広島県内の政治家40人を含む計100人に計2901万円を渡したとして起訴された。昨年8月の初公判では全面無罪を訴えたが、3月23日の被告人質問で主張を転換。今月1日に議員辞職した。8日間にわたった被告人質問は8日に終了。次回公判の4月30日に検察側が求刑し、5月18日に弁護側が最終弁論して結審する。

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