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メートル法一本化100年

2021/4/11 6:39

 バス停でもレジ待ちの列でも、今では習慣になっている。昨年のこの時分には目新しい言葉だった「ソーシャル・ディスタンス」。人との間隔を2メートル程度空けるよう盛んに呼び掛けられた▲目安を聞いただけでおおよその距離が取れるのは私たちがその単位になじんでいる証しだろう。きょうはメートル法公布記念日。長さや重さの単位をメートル法に一本化する改正度量衡法が公布されて100年になる▲明治から大正にかけ、日本では体の一部を使って測る尺貫法に加え、ヤード・ポンド法などが混在していた。物差しが違えば問題も起きる。日露戦争では陸軍と海軍が別々の単位を用いたため弾薬不足につながったそうだ。メートル法導入に力を尽くした物理学者・田中舘愛橘(たなかだて・あいきつ)の評伝で知った▲科学に基づくメートル法への移行は日本近代化の礎になったとされる。それでも職人たちには長く尺貫法が親しまれたという。自らの体を通した実感で物を捉えられたからかもしれない▲新型コロナが「パンデミック(世界的大流行)」と形容されて1年余り。人との距離が求められ、実感に乏しい日が続く。メートル法にはなじんでも、2メートルの距離は定着してほしくない。 

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