コラム・連載・特集

【月刊E・4月号】ノマドという日常

2021/4/12 7:00

 日常を忘れたいものの、泊まりがけの旅には出にくい。そんなご時世に非日常を味わうなら、映画や本が手っ取り早い。ということで2月、3月号に続き、今回も映画と本の話―。

 最近のイチオシ映画は「ノマドランド」。車に寝泊まりしながら米国内を移動し、各地で時給や週給の短期臨時雇いとして働く現代版のノマド(流浪の民)の姿を描いたロードムービーである。

 米国内の評判はすこぶるよく、今月下旬に発表される米アカデミー賞(オスカー)では6部門にノミネートされた。作品賞の最有力候補の一つだそうだ。

 原作となったノンフィクションが和訳されて広島市内の書店にも並んでいる。「ノマド 漂流する高齢労働者たち」(ジェシカ・ブルーダー著、鈴木素子訳、春秋社)

 どちらも味わい深く、どちらが先でも構わないだろう。私は映画を見てから本を買い、斜め読みの途中で映画をもう一度見た。2度目の方が、心のより深いところまで染み渡る気がした。

 ただ、日常と非日常を行ったり来たりするうちに境目が分かりにくくなり、頭がこんがらがってくる。
(ここまで 448文字/記事全文 1480文字)

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