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「早い者勝ち」募る不満 高齢者ワクチン接種開始 「予約できぬ」の声続々【こちら編集局です】

2021/4/12 22:46

 中国地方でも始まった高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種。ワクチンの供給量が限られる中、専用電話の回線がパンクしたり、接種の枠がすぐ埋まってしまうなど、予約段階で混乱も広がっている。無料通信アプリLINE(ライン)などを通じて、読者からも予約が取りにくいという指摘が相次ぐ。「早い者勝ち」の状況の改善を求める意見も目立つ。

 ▽電話不利 安定供給いつ

 広島県海田町は12日、集団接種の予約を取り始めた。だが、4月末に最初に接種する930人分の枠は1時間ほどでいっぱいに。専用の4回線を用意したが、電話がつながらない人が続出した。

 同町の男性(66)は「86歳の母は夕方まで電話をかけ続けたがつながらなかった。何のための高齢者優先なのか」と憤る。インターネットで予約した同町の60代の主婦は「希望と違う日でも予約できたのは運が良かった」と安心した。

 町保健センターの担当者は「ご迷惑を掛けている。次は回線を増やすなど改善したい」と話し、想定以上の関心の高さに困惑する。次の予約開始日は未定で、5月初旬に届ける町広報誌で周知するという。

 竹原市も805回分の受け付けを始めた今月5日、たった1日で予約枠が埋まった。混乱を避けるため急きょ、21日の予約再開時には、65歳以上としていた対象を80歳以上に絞ることにした。その後、70歳以上▽65歳以上―と拡大する。

 予約方法に疑問を感じる人は多い。広島市安佐南区の非常勤講師男性(62)は「回線のパンクは予想ができた。予約をしなくても全員が接種できる仕組みを考えて」と訴える。予約できた人の大半がネット経由のため「特定の人が有利にならないよう抽選にするべきだ」という声もあった。

 ワクチンの供給量は十分なのか。国は6月中にすべての高齢者分を調達するめどが立ったとする。一方で、市町村には「現物」がほとんど届いておらず、全体像は見通せない。広島市佐伯区の主婦(66)は「国のワクチンの確保量が少な過ぎる」といら立つ。

 優先接種が進められるはずの医療従事者も、ワクチンが行き届かず、受けていない人は多い。娘が医療従事者という南区の主婦(53)は高齢者の接種開始を「ワクチンが進んでいるアピールなのか」といぶかる。福山市の医師女性(51)は「自分の接種がいつかも分からない。感染リスクを抱えたまま接種する側になったらどうしたらいいのか」と戸惑う。

 多くの自治体は接種券の発送もまだだ。広島市は5月、福祉施設の入所者と80代以上の人に送り始める。市健康推進課は「ワクチンの入荷状況が分かれば、随時、接種のタイミングなどを情報提供する」とする。広島大大学院の坂口剛正教授(ウイルス学)は「予約できないのは不安と思うがいずれは接種できる。マスク着用や3密回避などの予防を続け、冷静に待ってほしい」と呼び掛ける。(衣川圭、高本友子) 

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