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栄光のグリーンジャケット

2021/4/13 6:35

 中継のアナウンサーや解説者が感極まって声を詰まらせた。早起きしたテレビ桟敷で、もらい泣きした人も多かったに違いない。男子ゴルフの松山英樹選手が見事、マスターズでアジア人として初優勝。栄光のグリーンジャケットに袖を通した▲一時は5打差に開いた2位との差は、こちらの眠気を吹き飛ばす「池ポチャ」もあり、終わってみれば1打差に。それでも悲願の日本人男子の四大メジャー初制覇である。人目を忍んで涙した関係者は多かったはずだ▲世界中の名手すなわちマスターばかり集う大会は、松山選手にとって特別な縁がある。初出場は仙台市の大学に通っていた10年前、東日本大震災の直後。迷いながらも周囲から背中を押されて出場した結果が、日本人初のベストアマチュアに実った▲当時の写真を見ると、顔も体つきもほっそりとし、まるで別人のよう。あれからツアーでもまれながら、人一倍の練習や筋トレに励んだのだろう。プロとしての自覚が分厚い胸板と太ももに、ぎっしり詰め込んである▲「テレビを見ている子どもたちと5年後、10年後に、この舞台で争えたら幸せ」。29歳にして後進に道を開いた優勝インタビューが、泣かせる。

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