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コロナ変異株 強い対策、必要な局面だ

2021/4/20 6:00

 新型コロナウイルスの「第4波」が急激な広がりを見せる。一因とみられるのが変異株だ。

 感染者に変異株の占める割合は高まっており、関西では既に主流となっている。関東や東海地域でも来月には感染者の大半を占める恐れがある。

 世界で新型コロナ感染症による死者が300万人を超えた。感染者も1日当たり70万人を超すなど再拡大に直面しており、やはり変異株が要因と考えられている。

 感染力が強く、重症化が速いとされる。国内でもほとんどの都道府県で変異株が見つかっている。感染拡大を想定した手だてが早急に求められる。

 感染力に関係する変異は英国株、南アフリカ株、ブラジル株の3タイプで、国内では英国株が最も多く確認されている。ウイルス表面にある、人の細胞内に侵入する役割を持つ突起状のタンパク質が変異する。

 国立感染症研究所によると、英国株は従来株よりも約1・3倍感染力が強い。高齢者が多かった重症者も40代や50代が増えている。変異株の割合が高い大阪府では、50代以下が第3波の17・5%から第4波は33・5%へ高まった。発症から重症化までの日数も従来株より短い。

 このため大阪府は重症病床不足に陥った。吉村洋文知事がきょうにも緊急事態宣言の要請を決めるというのも当然だろう。

 大阪府や兵庫県では、変異株への置き換わりが既に進行している。首都圏でも5月前半には8〜9割が変異株になると、感染研は試算する。

 変異株の影響で、第4波による死者数は、第3波を上回るという予測もあり、封じ込め策が不可欠だ。

 政府は対策の切り札としてワクチンを挙げてきた。菅義偉首相は訪米中、製薬大手ファイザーの首脳と電話会談し、ワクチンの追加供給で実質合意したという。9月末までに、16歳以上の国民全員分が供給される見通しが立ったと強調した。

 「合意」を評価するとしても接種の態勢をどう整え、行き渡らせるかが問題だ。

 一方で、ワクチン接種が進む国でも変異株の影響で感染状況が悪化しており、懸念される。

 米ミシガン州はファイザーのワクチン製造拠点だが、現在は一大感染地だという。ワクチンを少なくとも1回接種した州民は35%以上に上るが、州の陽性率は15%超で全米平均の約3倍だ。英国由来の変異株が原因との見方がある。

 世界保健機関(WHO)も、ワクチンだけに依拠せず、手指消毒や対人距離の確保といった基本動作の徹底を訴える。

 では国内の防止策はどうか。まん延防止等重点措置が10都府県に出ているが、飲食店の時短を中心とする従来の対策では、歯止めをかけられていない。

 緊急事態宣言などで強いられてきた自粛への「疲れ」、対策への「慣れ」が国民にはありそうだ。もはや打つ手はないとの指摘もあり、新たな対策を打ち出すのは難しいに違いない。

 とはいえ変異株は確実に拡大しつつある。第4波を封じ込めるには、私たちも一体となって取り組まねばならない。

 ワクチン接種を急ぐのはもちろん、政府は一層効果的な感染防止策や強いメッセージを、国民に発信する必要がある。 

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