コラム・連載・特集

「ない仕事」の作り方

2021/4/22 6:50

 先週発表された「本屋大賞」に発掘部門があるのをご存じだろうか。新旧を問わず、時代を超えて残ると思う本や今読み返しても面白い本。ことしはイラストレーターみうらじゅんさんの「『ない仕事』の作り方」が選ばれた▲「ゆるキャラ」などのブームを生み出したすべを記す。誰も気に留めなかった、ちょっとした違和感に注目し、足で調べ収集する。「自分はこいつが大好きなんだ」と信じ抜き、1人で企画、営業、接待までして、世の中になかった仕事に仕立てる▲推したのは福岡市の書店員。1年前の緊急事態宣言の際、勤め先の書店は休業になった。出勤は週1度。「一冊も売れてないのに新刊が届く。涙がでてきました」。誰にも買ってもらえない本に自身の不安が重なった▲そんな時、みうらさんの本を読み直した。「仕事がナイなら、作ればいいジャナイ」。前向きになれた気持ちをそのまま売り場の推薦メッセージに込めた▲「本を読むと、著者や主人公が頭のなかに住み始める」と社会学者の橋爪大三郎さん。困った時に、彼らが解決の糸口になって助けてくれる。本の発掘は新たな「同居人」探しだと。どんな人と出会えるか、わくわくしてくる。

  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

天風録の最新記事
一覧