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老朽原発の運転延長 なし崩し容認できない

2021/4/23 6:31

 運転開始から40年を超えた原発3基の再稼働について、是非を判断する手続きが福井県で大詰めを迎えている。

 この3基は関西電力の美浜原発3号機(美浜町)と高浜原発1、2号機(高浜町)で、2011年以降停止している。今年2月に地元2町の町議会と町長が同意を表明し、県議会と知事が近く判断を示す。

 仮に1基でも再稼働すれば、事故後に、原発の寿命を「原則40年」とするルールが設けられて以降初の運転延長となる。

 40年ルールは原発事故を教訓に、設計や設備の古い原発を廃止し、危険性を減らすのが狙い。電力需給の逼迫(ひっぱく)などに備え、規制当局が認めれば「1回に限り最長20年間」の運転延長ができるとしたが、あくまで「例外中の例外」である。

 にもかかわらず、その例外規定をよりどころに次々と老朽原発の再稼働に突き進んでいくことに強い違和感を覚える。原発に頼らない社会を目指すための原則が、なし崩し的に骨抜きにされることは容認できない。

 原発が地域経済を支えてきた事情があるのだろう。地元経済界やそれぞれの議会から再稼働を求める声が上がっているという。関電にとっても再稼働は発電コストを抑えられ、経営面でのメリットは大きいはずだ。

 だが、そうした地元や企業の事情が「例外中の例外」の運転延長を認める理由に当たるとは到底思えない。

 震災直後に懸念されていた電力不足は、節電や省エネの定着によって深刻な状況とは程遠い。住民の安全を守るために厳密な検討と議論が欠かせない。

 関電は1974〜76年に運転開始した3基について、40年超運転を目指し、中央制御盤や原子炉内の構造物など多くの設備や機器を最新型に交換した。

 しかし原子炉容器などの心臓部は取り換えることはできない。使い続けると、核分裂反応で生じる中性子線を浴びて金属がもろくなるとされる。

 外部有識者でつくる福井県の原子力安全専門委員会はきのう、「安全性の改善が図られた」とする報告書を杉本達治知事に提出したが、最後まで「高経年化した炉は危険ではないか」と疑問の声が残っていた。

 40年を超える運転は国内では例がない。データは少なく劣化がどのように進むのか未解明な点は多い。安全性への不安は拭えていない。

 原発の敷地内でたまり続ける使用済み核燃料の取り扱いについても釈然としない。その行き場となる中間貯蔵施設について、関電は県外に確保することを県に約束していたが、いまだに果たせていない。

 最大のネックとなる問題を棚上げにしたまま運転延長の手続きを急ぐ姿勢に疑問を感じる。まず関電と原子力政策を担う政府に責任ある解決策を提示させることが議論の出発点だろう。

 政府は30年度の電源構成に占める原発比率を20〜22%に定めている。現行のエネルギー政策を続けるなら、例外とした老朽原発の延命が必要になる。

 使用済み核燃料を再処理して再び発電に使う核燃料サイクル政策の行き詰まりは明らかだ。展望のない政策に見切りをつけ、40年ルールの原点に立ち戻って、老朽原発の廃炉を着実に進めるべきだ。

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