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3度目の緊急宣言 実効力ある対策を示せ

2021/4/25 6:46

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京や大阪など4都府県に、政府は3度目となる緊急事態宣言を発令した。急拡大する感染を早急に確実に抑え込む必要がある。ただ宣言は私権制限を伴い、慎重な運用が求められる措置だ。

 酒類やカラオケを提供する店への休業要請など前回より厳しい対策をとるが、今度こそ実効力はあるのか。国民がどこまで我慢すればいいか具体的道筋を示さなくてはならない。

 振り返れば菅義偉首相は、感染拡大の第3波を受けて発令していた2度目の宣言を、全国的に新規感染者数が下がりきっていない先月、解除した。その際に「再び宣言を出すことがないように対策をやるのが責務」と強調したが、それからわずか1カ月での再宣言である。

 解除の判断や時期は適切だったか。記者会見でも問われたが、まともに答えなかった。宣言の前段階となる「まん延防止等重点措置」が歯止めにならなかったことにも、「変異株の動き」を要因に挙げ、言い訳のように語った。

 確かに変異株の感染力は強く、重症化が速いとされる。だからこそ強い対策が求められる。まん延防止等重点措置をうまく運用できたのか、その効果を検証する必要もある。政府は宣言を繰り返す事態になった現状を反省せねばならない。

 今回の期間はきょうから5月11日まで大型連休を挟む17日間だ。対象地域では酒類を提供する飲食店やカラオケ店のほか、百貨店などにも生活必需品の売り場を除いて休業要請する。

 短期間で抑え込むに越したことはない。しかしなぜ期限を先に決めているのか、疑問だ。感染者がどの程度まで減れば解除できるか、科学的根拠が示されなければ、国民に協力を求めても理解は得られまい。

 11日までと区切った決断には東京五輪への影響を避けたい思惑があるのではないか。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日する17、18日には宣言を解除していたいのだろう。コロナの感染拡大で、五輪の再延期や中止を望む国民が依然多い現状もある。

 宣言を繰り返さなければならない大きな要因は、感染が急拡大し、医療提供体制が追いついていないことだ。それにしてもこの1年余り政府は何をしてきたのだろう。これまでの対策を検証し正さなければ、また同じことの繰り返しになる。

 政府が「切り札」とするワクチン接種も見通せない。2月から実施している医療従事者向け接種でさえ、22日時点で1回以上接種を受けた人は、3分の1にとどまる。

 しかもワクチンも万能ではない。世界保健機関(WHO)はワクチンだけに依拠せず手指消毒や対人距離の確保といった基本動作の徹底を訴える。これまで通り一人一人が今できるあらゆる対策をとることが大事だ。

 昨年に続き大型連休を挟む宣言となった。連休に期待していた店や施設へのダメージは計り知れない。政府は休業補償などにもしっかり対応してほしい。

 新規感染者数は首都圏や関西だけでなく、全国各地で急増している。このままでは宣言の対象地域が増える可能性もある。私たちは改めて気を引き締め、行動を見直す必要がある。 

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