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決別 金権政治

自民不信、浮き彫り「最後まで河井夫妻にたたられた」【決別 金権政治】

2021/4/25 23:45
西田さんの落選が確実になり、静まり返る自民党の国会議員や広島県議たち

西田さんの落選が確実になり、静まり返る自民党の国会議員や広島県議たち

 「政治とカネ」を巡り、自民党への信頼失墜が明確に示された。自民党の陣営による大規模買収事件に端を発した参院広島選挙区の再選挙で25日、自民党新人の西田英範さん(39)が敗れ、野党3党が推薦した諸派新人の宮口治子さん(45)が当選を決めた。自民党内では当初、自信の声も聞かれたが、有権者からの逆風は想像以上だった。年内にある衆院選をにらみ、悲鳴が上がった。

 【グラフ】各候補の得票数は

 「何とか勝ち抜ける選挙と思っていたが…。自らの非力を恥じる」。西田さんの落選の知らせを受け、宮沢洋一選対本部長(参院広島)は敗戦の弁を述べた。

 党県連は3月、首相を目指す岸田文雄前党政調会長(広島1区)が会長に就き必勝を期した。県内は支持基盤が厚く、県議たちは当初、「普通に戦えば勝てる」と自信を見せていた。

 だが、大規模買収事件で有罪が確定し、当選無効となった河井案里元参院議員(47)と夫で元衆院議員の克行被告(58)=公判中=は自民党所属だったため、「政治とカネ」を巡る批判の矛先は党県連にも向けられた。河井夫妻側に提供した1億5千万円の説明責任を果たさない党本部の対応も不信感を増幅させた。

 2019年の参院選広島選挙区で自民党は2議席独占を掲げ、現職だった溝手顕正さん(78)に加え、案里元参院議員を擁立。党本部が案里元参院議員、党県連が溝手さんを応援する分裂選挙となり、溝手さんが落選した。県連側には、地元の反対を押し切る形で案里元参院議員を立候補させた党本部に対するしこりが残った。

 県連の幹部の一人は「われわれは溝手さんを推し、案里さんと敵対していた。それを有権者に理解してもらえていると思ったが、そうではなかった」と嘆いた。選挙期間中、大規模買収事件について陣営幹部が謝罪するなどしたが、有権者の厳しい反応を覆すまでには至らなかった。

 「後援会が必死に動いているのに、支援の輪が広がらない」。選挙戦の最中、宮沢選対本部長は旧民主党に政権交代した09年の衆院選に近い感覚だと明かした。敗北確定後は「河井事件を発端にした再選挙。最後まで河井夫妻にたたられた」と恨み節を口にした。

 地方議員の動きが鈍ったのも敗因の一つとなった。河井夫妻から現金を受け取ったとされる党県連所属の県議12人、広島市議12人たちは表立って動けず、実動部隊となる地方議員を各市町に多く抱える自民党の強みを生かせなかった。

 県連のある幹部は「まだ逆風は収まらない。衆院選は県内で大敗するのではないか」と天を仰いだ。党県連と党本部は年内にある衆院選に向け、早急に立て直しを迫られることになる。(河野揚)

【特集】参院広島再選挙

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  •  2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

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