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安心の音

2021/4/26 6:03

 「ピーポーピーポー」といえば、誰もが救急車のサイレンを思い浮かべるだろう。だが、かつてはパトカーや消防車と同じく「ウーウー」と鳴っていた。それが切り替わったのは1970年代。理由は同じ音だと区別がつかないから▲救急車の出動が増え、消防団員らから火災の問い合わせが消防署へ殺到していた。京都府の会社がピーポー音のサイレンを開発。従来より優しい音は「ドキっとせずにすむ」と好意的に受け止められ、全国採用された▲救急車の役割は、患者を一刻も早く安全に病院に運ぶことだ。誕生から半世紀余り。ピーポーのサイレンは安心を届ける音として国民に定着していたのだが▲新型コロナの感染拡大で、急病で救急車を呼んでもなかなか受け入れ先の病院が見つからないケースが増えている。大阪ではコロナの感染患者が丸2日近く救急車の中で待たされたという。対応できる病院のベッド数も人手もパンク寸前なのだろう▲搬送に時間がかかると、助かる命が救えなくなるかもしれない。待機する救急車が増えれば、数も足りなくなる。救急隊員の疲弊や感染リスクも心配だ。ピーポーの音が聞こえなくなると想像すると、ぞっとする。 

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