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気候変動サミット 目標達成へ本気度示せ

2021/4/27 6:57

 バイデン米大統領主催の気候変動サミットがオンラインで開かれた。菅義偉首相たち40カ国・地域の首脳全員が招待に応じ、温室効果ガスの削減に取り組むことを宣言した。

 日米が温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」へ向けた新目標を発表するなど、参加国が相次いで積極姿勢を示した。中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領も削減を目指すことで足並みをそろえた。

 人権や安全保障を巡って対立が目立つ米中ロ3カ国が温暖化対策で協調したことは評価できる。脱炭素社会の実現に向けて世界が一致して取り組むことを期待したい。

 バイデン氏は大統領就任直後から、トランプ前政権が離脱したパリ協定に復帰し、サミット開催を各国に呼び掛けた。11月の気候変動枠組み条約の第26回締約国会議(COP26)への機運を高めるとともに、国際舞台での議論をリードしていきたい思惑があるのだろう。

 パリ協定は、産業革命以来の気温上昇を1・5度に抑えるよう目指す。その達成には2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにすることが不可欠だ。日米をはじめ120を超える国が目標に掲げている。

 バイデン氏は30年の温室効果ガス排出量を05年比で50〜52%削減すると表明し、「温暖化は存亡に関わる脅威だ」と訴えた。それでも50年の実質ゼロには不十分との指摘もある。

 だが温暖化対策は一国では解決できない問題だ。各国が目標達成に向けて実効性ある具体的な行程を示し、排出削減を加速させるべきだ。

 特に重要なのは世界最大の温室効果ガス排出国である中国の取り組みだ。

 習氏はサミットで温室効果ガスを大量発生させる石炭の消費を徐々に減らすとしたが、実質ゼロ達成は60年とする従来目標は据え置いたままだ。他国より10年遅く、原発推進も国家目標として掲げる。

 中国は米国に対しサミットを「政治的なカードにすべきではない」とけん制するが、まずは温暖化対策で米国と信頼関係を築く努力を重ねるべきだ。対話が深まれば、人権や安全保障問題でも歩み寄れる余地も出てくるのではないか。

 菅首相も30年の温室効果ガス排出量を13年度比で26%減らすという従来目標を大幅に上積みし、46%にまで引き上げると表明した。

 だが、この目標は国際的なレベルでは不十分と言わざるを得ない。日本は先進7カ国で温室効果ガス排出量の多い石炭火力発電へのエネルギー依存度が最も高い。石炭火力への依存をやめなければ、大幅な排出削減などおぼつかない。

 にもかかわらず、菅首相はサミットで石炭火力の削減対策には触れず、46%減へ向けた具体的な行程も示さなかった。これでは本気度が疑われる。

 世界は脱炭素に向けた技術開発や産業構造の転換を加速させている。削減目標を達成できない国は、達成できた国から、削減コストを理由に巨額の国境炭素税を課されることも想定される。競争に取り残されれば、日本経済へのダメージは大きい。

 政府には、社会や経済の在り方を根本から見直す大きな覚悟が求められている。

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