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現代のノマドたち

2021/4/27 6:57

 観光地で休暇を楽しみながら合間にテレワークする「ワーケーション」は、今どきの働き方のお手本とされる。ただ、オンとオフの切り替え上手は少数派のよう。コロナ禍でも定着しそうにない▲一方、米国ではリーマン・ショックの頃から「ワーキャンパー」が増えているという。住宅ローンや家賃が払えず、キャンピングカーで移動しながら働く。かつての遊牧民になぞらえ、「現代のノマド」とも呼ばれる▲「ハウス」すなわち住む家はなくても「ホーム」つまり自分の居場所ならある。そんな自由気ままで誇り高い車上暮らしの人たちを描いた映画「ノマドランド」が前評判通り、今年の米アカデミー賞作品賞に輝いた▲メガホンを取った中国出身のクロエ・ジャオさんは白人以外の女性で初の監督賞も射止めた。ほかにも助演男優賞は黒人、助演女優賞は初の韓国人に。いわれなき差別に今も苦しめられている各地のマイノリティーの人たちを勇気づけたことだろう▲現代のノマドたちも格差社会の象徴。だが、大半は白人で、非白人はほんの一握りだそうだ。キャンピングカーにもワーケーションにも無縁の最貧困層の人たちの存在を知らしめる映画でもある。 

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