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がまくんとかえるくん

2021/4/29 6:10

 隣の庭から聞こえるカエルの鳴き声は騒音か否か。そんな争いが司法の場で繰り広げられたと知って驚いた。もちろん東京地裁は「騒音」と認めなかった。原告は、コロナ下で何事も思うに任せず、イライラを募らせていたのだろうか。訴えは退けられた▲カエルとの付き合いはとても長い。古くは万葉集に詠まれ、丸っこく愛らしい姿は擬人化されて鳥獣戯画にも描かれた。現代でもアニメや絵本の人気キャラクターとして引きも切らない▲中でも国際的知名度を誇るのがこのコンビではないか。がまくんとかえるくん。米国の絵本作家アーノルド・ローベルによるシリーズである。第1作の「ふたりは ともだち」が世に送り出されて半世紀。記念の展覧会が広島市のひろしま美術館で開かれている▲ローベルが描くのは、どこか抜けているがまくんと、しっかり者のかえるくんが織りなす日常だ。劇的な展開も教訓じみた結末もないが、お互いを思いやる友情に、心がほっこりとする▲キャラクターには、人と違うことを恐れず伸び伸び生きたローベルの価値観が投影されているそうだ。自粛疲れのイライラや不安から解放してくれる2匹。無論、騒音とは無縁である。

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