コラム・連載・特集

岩国往来 藩財政支えた和紙の道【山口考】歴史街道<上>

2021/4/29 20:32
岩国市美和町の山あいを通る岩国往来。手前には復元された駕籠立場が見える=小型無人機ドローンから(撮影・山下悟史)

岩国市美和町の山あいを通る岩国往来。手前には復元された駕籠立場が見える=小型無人機ドローンから(撮影・山下悟史)

 県内には古くから町や港を結んできた街道が多く残る。中世には貿易品の運搬、江戸期には参勤交代に使われ、幕末の志士が駆け抜けた。その後も市民の生活を支え、観光資源にもなっている。街道の歴史と、関わる人の動きを紹介する。

 ▽古地図頼りに住民整備

 岩国市美和町の山あい、坂道を上ると黒い屋根が見えてくる。岩国往来まちづくり協議会と地元住民が、往来沿いに建てた手作りの駕籠立場(かごたてば)だ。岩国藩主の一行が通る際にかごを下ろして休んだ場所を復元した。

 草刈りなど整備を続けて15年。往来の一部は2019年に文化庁の「歴史の道百選」に選ばれた。国などから整備費の補助が出るようになり、昨年は160カ所の標識を木製からスチール製に更新した。協議会の藤森勝彦会長(81)は「地域の方が情熱を持って協力してくれたおかげ」と感謝する。

 岩国往来は同市本郷町と今津町の約30キロを結ぶ。1600年に初代藩主吉川広家の親族と家臣が島根県から岩国市に移る際に通ったとされる。江戸時代には市北部で生産されていた和紙の原料を運び、長州藩の財政を支える重要な道だった。しかし峠が多く不便なため、昭和前期には一部しか使われなくなり、別の道路が整備されるにつれて忘れられた。
(ここまで 522文字/記事全文 1116文字)

会員限定の記事です
  • 無料登録して続きを読む
  • ログインする

この記事の写真

  • 無料登録して写真を拡大
  • ログインする
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

山口考の最新記事
一覧

  • 肥中街道 室町期、日朝の交易路か【山口考】歴史街道<下> (5/1)

     山口市吉敷の竹林を抜けると、高さ約2メートルの石灯籠が立っていた。肥中(ひじゅう)街道を整備している吉敷地域文化振興協議会のメンバーが2018年、江戸中期にできた灯籠を見つけ、建て直したものだ。松原...

  • 萩往還 参勤交代、息遣い随所に【山口考】歴史街道<中> (4/30)

     「参勤交代では多い時に1600人もの行列が通った」「江戸送りとなった吉田松陰先生が歩いた」「大正期にはところてんを売っていた」。やまぐち萩往還語り部の会の古谷真之助さん(67)の説明は止まらない。案...

  • 岩国往来 藩財政支えた和紙の道【山口考】歴史街道<上> (4/29)

     県内には古くから町や港を結んできた街道が多く残る。中世には貿易品の運搬、江戸期には参勤交代に使われ、幕末の志士が駆け抜けた。その後も市民の生活を支え、観光資源にもなっている。街道の歴史と、関わる人の...

  • 【山口考】伝統芸能<下> 山口エリア (3/29)

     ▽配信・アニメ、次々挑戦 山口鷺流狂言(山口市) 「さりながら、鳴かずばなるまい。ももんが、ももんがももんがももんが」。山口市の山口ふるさと伝承総合センターに独特の節を付けた声が響く。2月上旬、山口...

  • 【山口考】伝統芸能<中> 周南エリア (3/23)

     ▽40代が6割、継承に光明 切山歌舞伎(下松市) 下松市が地域の歴史や文化財を紹介するサイト「郷土資料・文化遺産デジタルアーカイブ」に、新たな資料が加わった。約250年前から地域に伝わる切山歌舞伎だ...