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河井元法相に懲役4年求刑 検察「前代未聞で悪質」

2021/4/30 23:00
河井克行被告

河井克行被告

 2019年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で地方議員や後援会員ら100人に現金を渡したとして公選法違反罪に問われた元法相で元衆院議員の河井克行被告(58)の論告求刑公判が30日、東京地裁(高橋康明裁判長)であり、検察側は「現職国会議員による犯罪史上、前代未聞の突出して悪質な公選法違反事件」として懲役4年、追徴金150万円を求刑した。5月18日の弁護側の最終弁論で結審し、6月にも判決が言い渡される見込み。

 検察側は論告で、参院選を控えた時期に選挙区の広島県内全域で現金を配った実態を踏まえ、妻の案里元参院議員(47)=有罪確定=の当選に向け「票を金で買おうとした」と指摘した。自らの政治基盤の強化が主目的と訴える克行被告の主張については、克行被告が作成・管理した「買収リスト」や受領議員らの証言に基づき「明らかに虚偽」と断じた。

 克行被告が陣営を仕切る総括主宰者だったとした上で当選7回の実績を重くみて「選挙の知識、経験を十二分に悪用した犯行」と強調。買収事件の再発を防ぐ点から「厳罰で臨む必要がある」と述べた。案里氏との共謀はリストなどから「成立は明らか」とした。

 論告に先立ち弁護側は、克行被告が20年6月の逮捕後に受け取った歳費の大半に当たる700万円を4月16日に一般財団法人の日本児童養護施設財団へ寄付したとする証拠を提出した。検察側はこうした寄付や議員辞職は「刑事責任を少しでも軽くしようとするものにすぎない。反省の情は皆無」とし、情状の余地はないと主張。一部の県議や後援会員が克行被告に返金した合計150万円を追徴金として支払うよう求めた。

 起訴状によると、克行被告は19年3〜8月に県議や市町議、首長、後援会員ら100人に2901万円を渡したとされる。昨年8月の初公判では全面無罪を主張したが、今年3月の被告人質問で「案里の当選を得たい気持ちが全くなかったとはいえない」と述べ、100人のうち90人への買収の意図を認めた。原資は「手持ち資金」と説明。政界引退も表明した。

 地裁が1月に言い渡した案里氏の判決も高橋裁判長が担当。県議4人への現金提供について克行被告との共謀を認定し、執行猶予付きの有罪が確定している。

 <クリック>参院選広島選挙区 3年ごとの参院選で2議席が改選され、通常は与野党で議席を分け合う無風区だが、2019年7月の参院選では、自民党が公認した現職溝手顕正氏と新人河井案里氏、野党系の無所属現職の森本真治氏が激戦を展開。森本氏と案里氏が当選し、6選を狙った溝手氏は落選した。案里氏を応援した自民党本部は参院選前、河井夫妻側へ溝手氏の10倍に当たる計1億5千万円を提供した。

【特集】河井夫妻買収事件公判

【特集】決別 金権政治

【詳報・論告求刑】
 <1>選挙情勢は厳しいものと予想された
 <2>被告人が取り仕切り役、信用できる証言
 <3>投票及び選挙運動の報酬の趣旨明らか
 <4>リストは現金供与の実績正確に記載
 <5>案里の間で共謀成立明らか
 <6>現金供与の趣旨、不合理な主張
 <7>受供与者は(不起訴約束の)存在を明確に否定
 <情状・求刑>「矯正施設内処遇が必須」懲役4年、追徴金150万円求刑

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