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現金返す市議たち「河井事件よぎった」 千葉・群馬でも水面下の授受表面化【決別 金権政治】

2021/5/1 22:56
東金市の鹿間市長側から市議に届けられた3万円入りの祝儀袋。左から表、現金、裏。表に「祈必勝」と書かれていただけで、領収書は求められなかったという(市議提供)

東金市の鹿間市長側から市議に届けられた3万円入りの祝儀袋。左から表、現金、裏。表に「祈必勝」と書かれていただけで、領収書は求められなかったという(市議提供)

 千葉県東金市と群馬県前橋市で、市長や県議が市議選を控えた現職市議に陣中見舞いとして現金を渡したことが相次いで表面化し、波紋を呼んでいる。元法相の河井克行被告(58)=公判中=らが逮捕、起訴された参院選広島選挙区の大規模買収事件で「政治とカネ」に厳しい視線が注がれる中、現金を返す市議が続出したため。広島の事件の余波で水面下の現金授受が浮き彫りになった形だ。

 東金市では市議選告示の約2週間前の2月末、鹿間陸郎市長や後援会員が少なくとも市議3人に、陣中見舞いとして1万〜3万円の現金が入った封筒などを持参。3人は受け取った後、2日以内に返却したという。いずれも中国新聞の取材に証言した。

 3万円を受領した市議は「陣中見舞いと思ったが、先輩や後輩議員にも届いていて、騒ぎになった。河井さんの事件が頭をよぎり、慌てて返した」と語った。

 3人とは別の市議も現金が入ったとみられる封筒を持参されたが、受け取らなかったという。鹿間市長は現在1期目。「来年に迫った市長選の票の取りまとめの趣旨や議会対策の意味合いがあったのだろう」と話した。

 公選法は、当選を得る目的で金銭を渡すことを禁じるほか、政治家が選挙区内の有権者に寄付することも禁止する。一方で、政党支部や後援会などの政治団体同士で資金をやりとりすることは、領収書を発行して政治資金収支報告書に記載するのを条件に政治資金規正法で認められている。

 今回、鹿間市長側は現金を渡す際に領収書を求めなかったという。鹿間市長は「弁護士からコメントを控えるよう言われている」として取材に応じなかった。

 前橋市では、自民党系会派に所属する2人の市議が、自民党群馬県連の幹事長や県議会議長を歴任した狩野浩志県議(60)=同市選挙区=から陣中見舞いとして現金を渡されたと証言した。

 うち1人の市議によると市議選(1月31日告示、2月7日投開票)直前の1月下旬に狩野県議が市議の事務所を訪問。市議は外出中で、狩野県議は5万円入りの白封筒を置いて帰った。領収書は求めなかったという。市議は翌日に狩野県議の事務所に行き、返却した。

 市議は取材に「河井さんの事件が頭に浮かび、(受け取っては)駄目だろうと思った。事務所のみんなも同じ意見だったので返した」と説明した。

 別の市議は1月12日に10万円を受領し領収書を発行したと説明。政治団体間の資金として処理するという。

 地元メディアの報道を受けて市民団体が、狩野県議は少なくとも市議5人に現金を渡しており、選挙区内での寄付を禁じた公選法に違反するとして告発状を前橋地検に提出。「子飼いの市議が欲しくて配ったと考えられる」としている。

 狩野県議は取材に「純粋な陣中見舞いだった。政治団体への資金のやりとりで合法だ」としている。

 <クリック>参院選広島選挙区の大規模買収事件 自民党の衆院議員だった河井克行被告は、2019年の参院選で妻の案里氏を当選させる目的で広島県内の地方議員や後援会員ら100人に計2901万円を渡したとして起訴された。このうち県議や広島市議には、参院選の約3カ月前にあった県議選や市議選の陣中見舞い、当選祝いとして現金を渡したという。検察側は懲役4年を求刑している。案里氏は克行被告と共謀して県議4人に計160万円を渡し、有罪判決が確定している。




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