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決別 金権政治

【ルポ終えて】全国共通の課題見直しを

2021/5/1 23:17

 千葉県東金市長と群馬県議が、地元の市議選の陣中見舞いとして市議らに現金を配った背景には、議会対策や勢力争いがあるとの指摘が出ている。2019年の参院選広島選挙区の大規模買収事件とも構図が似通う。金権体質は広島に限らない課題と言える。

 東金市の鹿間陸郎市長が陣中見舞いとして現金を配ったのは、市議会で予算案の採決を控えた2月末。最大会派の市議との関係がこじれる中、市長派議員を増やす思惑や来年の市長選をにらんだ意図を感じた市議がいた。狩野浩志群馬県議についても、昨年2月の前橋市長選で支援した候補者が敗れ、近い関係の市議を増やす狙いがあったとの見方が大半を占める。

 参院選広島選挙区の大規模買収事件も、自民党の候補同士が争う激戦が背景にあり、河井克行被告は参院選の3カ月前にあった広島県議選や市議選の陣中見舞い、当選祝いとして県議や市議に現金を渡したという。克行被告は3月の公判で「(妻の)案里の当選を得たい気持ちが全くなかったとは言えない」と説明。「当選祝い、陣中見舞いで渡せば、抵抗なく受け取ってもらえる」と語った。

 河井夫妻の公判や中国新聞の取材では、選挙の際に金を提供する候補者側と、安易に金を受け取る地方議員の姿が浮き彫りになっている。「選挙とカネ」の在り方は全国共通の課題として見直す必要がある。

 ▽現金授受に甘い認識 法律に分かりにくさも

 「知人から違法と聞き、返却した」「騒ぎになったので慌てて返した」―。東金市議と前橋市議への取材では「政治とカネ」の認識の甘さが鮮明になった。法律の分かりにくさもあらためて浮き彫りになった。

 東金市議の一人が鹿間陸郎市長からの1万円を返したのは知人の助言がきっかけだった。公選法が禁じる選挙区内での政治家の寄付に当たると指摘されたためという。3万円を受け取った別の市議も「お金については無防備だった」と振り返った。

 政治家は選挙区内の寄付が禁じられるが、政党支部や後援会など政治団体同士で資金をやりとりすることは、政治資金収支報告書に載せるのを条件に政治資金規正法で認められている。一方、公選法は報告書の記載の有無にかかわらず一切の買収行為を禁じている。

 狩野浩志群馬県議に5万円を渡された前橋市議は河井夫妻の事件が頭に浮かび、翌日に返却した。その後、政党支部間の金銭の授受なら合法になりうると聞き「もらっておけばよかった」と本音ものぞかせた。

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  •  2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

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