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イノシシとの闘い

2021/5/5 6:33

 「巣ごもり」連休の気晴らしに、車で足を延ばしてみた。何カ月ぶりかで尾道の広島県立びんご運動公園に寄ると、様変わりしていた。イノシシに掘り返され、痛々しいほど穴だらけだった芝の緑が息を吹き返しつつある▲芝生広場にぐるりと2重に巡らせた、オレンジ色の線が見える。「外堀」は電気柵で、「内堀」の線には液体の入った筒状容器が幾つもぶら下がっている。忌避剤とあるから何か、獣の嫌がる臭いでも発するのだろう▲聞けば、産学協同の試みという。びんご運動公園は広く、広島東洋カープの本拠地マツダスタジアムが優に30個は入る。イノシシの出没による被害額が年によっては2千万円にも上る。このまま尻尾を巻いて、山ごもりしてくれるといいのだが▲されど、敵も手ごわい。動物行動学者の江口祐輔さんによると、臭いや光、音で脅す市販の仕掛けは「実験で効果の続いたためしがない」。そのうちイノシシが慣れてしまうらしい。知恵比べのゴールはまだ遠いのか▲帰り道は遠回りし、山あいを走った。そこここで、水を張った田んぼが目に付く。中国山地ではこの時季、田植え作業に入る所が多い。イノシシとの攻防の日々も始まる。

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