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ホットサンドブーム

2021/5/9 6:00

 作家石牟礼道子さんの母親は、こう言って娘にサツマ芋を食べさせた。「くどの下にくべといたら、栗のごたる(栗みたいだ)」。くどは竈(かまど)。余熱で蒸し焼きにすれば、外は香ばしく中はホクッ。ガスの登場で、くどは昔語りになったが▲今どきのホットサンドなら、外がサクッとして中はジュッ。調理器具には電熱式もあるが、パンを挟み込んで、じか火で焼くタイプはブラジルのバウルー村が起源だという。金属洋食器の町、新潟・燕の会社はバウルーの銘柄で製造して50年を超す▲残り物を生かす家庭料理でもあろう。具はカレーよし、ポテトサラダよし。ゴーヤーチャンプルーも合う、と聞いたことがある▲生活史研究家阿古真理さんによると、今はブームの再来。コロナが収まらぬ中、庭先でキャンプ気分を味わうのにもってこいだという。軽食とはいえ、レシピのネット検索も頻度が上がる。またも外出自粛が求められる間、自宅で腕を磨いてみるか▲巣ごもりは調理家電ブームを呼び起こしている。サツマ芋をプレートでくるむような新製品の記事が目に留まった。焼き上がりが「くどのごたる」となるか。試してみないと分からないが、頬が緩む人もいよう。

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