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広島中心部で再開発が活発化 広島駅周辺の成功が波及

2021/5/20

広島中心部で再開発が活発化 広島駅周辺の成功が中心部に波及


再開発計画が相次ぎ浮上している広島市中心部。中央公園広場(手前)では新サッカースタジアム建設に備え、埋蔵文化財の発掘調査が進む再開発計画が相次ぎ浮上している広島市中心部。中央公園広場(手前)では新サッカースタジアム建設に備え、埋蔵文化財の発掘調査が進む

 中四国地方最大の都市ながら、札幌や福岡など他の地方中枢都市と比べて開発の遅れが指摘されてきた広島市。ここに来て、市の中心部で新サッカースタジアムをはじめとする大型事業や、新たな高層ビルの建設など再開発の動きが活発化している。JR広島駅南口のエリアに位置し、2009年に完成した広島東洋カープの本拠地マツダスタジアム(南区)や駅前の再開発ビル(同区、16、17年完成)が成功体験となり、中心部の紙屋町・八丁堀地区(中区)にも波及した格好だ。(馬場洋太)

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 「街なかスタジアム」。広島市は、かつての市民球場があった場所のすぐ北側にある中央公園広場に建設する新スタジアムをそう呼び、中心部のにぎわいの核と位置付ける。4月下旬には、J1サンフレッチェ広島の本拠地として24年2月に開業するスケジュールも明らかになり、市民の期待が高まっている。
 
 路面電車の走る大通り沿いの一等地でも、複数の大型プロジェクトが進む。
 
 4月中旬、広島の「顔」である本通り商店街に南北2棟の大規模な再開発ビルを建てる計画を地権者たちが公表し、驚きが広がった。市営基町駐車場一帯でも、27年度完成に向けて高層ビルを建てる計画を市と広島商工会議所が主導。民間ビル解体後に時間貸し駐車場となっている土地を含め、再開発する。
 

再開発計画が浮上した本通り商店街。奥の緑地は平和記念公園再開発計画が浮上した本通り商店街。奥の緑地は平和記念公園

 こうしたプロジェクトが動きだしたのは、18年10月、紙屋町・八丁堀地区が国の「都市再生緊急整備地域」に指定されたことが大きい。区画をまとめて開発する際に、容積率が緩和されて大きなビルを建てやすくなり、税制面の優遇も受けられるためだ。
 
 原爆投下で焼け野原になった市中心部では、1950〜70年代に完成した建物が老朽化。耐震基準を満たさないビルも多く、建て替えのタイミングではあった。だが、郊外の大型店との競合が激しくなる中、紙屋町・八丁堀地区の集客力には陰りも見え、再開発の機運が高まらなかった。
 
 一方、先行して03年に都市再生緊急整備地域に指定されたJR広島駅周辺では、指定が追い風となり、停滞していた駅前の再開発が一気に進んだ。これが刺激となり、紙屋町・八丁堀地区も同地域に指定するよう、市などが国に働き掛け、指定に結び付けてきた経緯がある。
 
 20年9月には、JR広島駅周辺も含め、税制優遇がさらに手厚い「特定地域」に格上げされた。本通り商店街の再開発を主導する地権者たちの準備組合は「今動きだしておかなければ手遅れになる恐れもある」とし、特定地域への指定が追い風になったと明かす。

25年開業に向けて新駅ビルの建設工事が始まったJR広島駅(手前)25年開業に向けて新駅ビルの建設工事が始まったJR広島駅(手前)

 玄関口であるJR広島駅でも、南口の旧駅ビルが解体中で、ことし3月には新駅ビルの建設工事も始まった。25年春開業予定の新駅ビルは地上20階建て。商業施設やホテル、シネコン(複合映画館)が入る。2階には路面電車が高架で乗り入れる。
 
 同駅北口(東区)では、JR広島支社の旧社屋の一部を5月下旬から解体。JR西は、残る社屋を撤去する26年ごろをめどに、約1万8千平方メートルの広大な敷地の活用方法を探る方針だ。蔵原潮支社長は「広島の玄関口にふさわしい施設となるよう、県や市、経済界とも議論して決めたい」と話す。駅前の一等地だけに、今後の街づくりに大きなインパクトを与えそうだ。

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