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広島・本通り店主の情熱象徴 商店街のビルにあった谷内六郎さんの壁画、誕生とその後【こちら編集局です】

2021/6/5 20:56
谷内さんのラフスケッチを手に、ロクロービルの前に立つ福間栄子さん(左)と大悟さん。壁画は右手の壁に掲げられていたという(撮影・高橋洋史)

谷内さんのラフスケッチを手に、ロクロービルの前に立つ福間栄子さん(左)と大悟さん。壁画は右手の壁に掲げられていたという(撮影・高橋洋史)

 「広島市中区の本通り商店街のビルに昔あった谷内六郎さんの壁画が、いつの間にかなくなった。なぜ?」。西区の主婦(64)から編集局にそんな声が届いた。谷内六郎さん(1921〜81年)は、NHK「みんなのうた」の背景画や、週刊誌の表紙を長年描いたことで知られる著名な画家だ。壁画の誕生とその後を調べると、商店街の求心力を高めようとした店主たちの熱い思いが見えてきた。

 「鮮やかな青色が記憶に残っている。もう一度見たい」。この主婦は高校時代に本通りでよく買い物をしたという。5月上旬、谷内さんの絵が「みんなのうた」の歴史を振り返る番組で放送され、壁画を思い出したのだという。

 過去の本紙記事を調べてみると、谷内さんの壁画とショッピングビルの完成を紹介する記事が見つかった。71年11月10日付と今から半世紀前。記事には「縦4メートル、横20メートルのモザイク張り」とあり、かなり存在感のある作品だったようだ。本通りと中の棚商店街の交差点にあるビルの東側の壁に、瀬戸内海の島々や子どもたちがカラフルなタイルで表現されていたという。

 ビルは当時、書店チェーンの広文館(現廣文館、中区)と傘販売のフクマ専門店(同区)が共同で建設。フクマの関係者らに聞くと、谷内さんにちなんでビル名は「ロクロービル」にしたという。

 今もビルで営業を続ける傘のフクマ取締役の福間栄子さん(67)は「完成した時のセレモニーで、谷内さんがスピーチをしたと聞いた」。栄子さんの親戚でビルに住む美智子さん(89)は「すてきな作品を目当てに市外から見に来る人もいたね」と振り返る。ただ、2人とも壁画が消えた経緯の詳細は知らないという。
(ここまで 696文字/記事全文 1295文字)

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この記事の写真

  • 廣文館で保管されている谷内さんの原画
  • 谷内さんの絵があったロクロービルの東側の壁面
  • 傘のフクマで保管されている谷内さんのラフスケッチ
  • ラフスケッチの右側に残るメモ書き
  • 廣文館の原画に描かれた貝殻の汽車
  • 傘のフクマの店内で、ビルへの思いを語る福間栄子さん(左)と大悟さん
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