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決別 金権政治

規正法の「穴」ふさがねば 永田町見つめ40年、日本大法学部元教授・岩井奉信さんに聞く 【決別 金権政治】<第8部 制度のほころび>(上)

2021/6/10 23:02
日本大法学部元教授・岩井奉信さん

日本大法学部元教授・岩井奉信さん

 2019年の参院選広島選挙区での大規模買収事件は、政治資金を巡る現行制度の問題点を浮かび上がらせた。政治団体を使った政治家同士の寄付や政党交付金の使い道、「議員特権」との批判も強い歳費支給。制度のほころびの解消に向け、政界や司法の場に声を上げ続けた専門家たちの思いに耳を傾ける。

 制度のほころび 政治団体、買収の「抜け道」【決別 金権政治】


 「政治とカネ」を40年近く研究してきた岩井は今春、定年を迎えた。「政治資金規正法には多くの抜け道が残ったまま。抜本的な改革ができなかった」。心残りもある。

 ▽改革、94年が最後

 リクルート事件などに端を発した1990年代の政治改革に関わり、学者や財界人で結成した政治改革推進協議会に参加。その後も、制度改革の有識者会議に幾度となく携わり、総務省の政治資金適正化委員会の委員も務めた。政治とカネの仕組みが大きく変わったのは「94年の政治改革が最後だ」と言い切る。

 この改革の結果、95年に政治資金規正法が改正され、政治家個人への寄付を資金管理団体に限定。その後に企業・団体献金の受け取りも禁じた。しかし、政党や政党支部で企業・団体献金を受け取る道は残された。「政治家が代表を務める党支部が乱立し、新たな受け皿になってしまった」と振り返る。

 これまで「政治資金規正法と公選法の一本化」を訴えてきた。立候補者側が当選するために金を配れば、公選法上は買収罪に問われる。一方でその相手が政治家の場合、党支部間の資金提供として処理すると、政治資金規正法上は合法に化ける。こうした矛盾をはらむ現行制度に対し「政治改革から四半世紀が過ぎ、すでに制度疲労を起こしている」と危機感を抱く。

 定年を1年後に控えた昨年3月。元法相の河井克行(58)=公判中=と妻案里(47)=有罪確定=による大規模買収事件が発覚した。夫妻は地方議員ら100人に現金を渡したとされる。一部の地方議員が「党支部間の寄付」と主張するなど、自身が指摘してきた通りのひずみが表面化した。ただ、国会に改善への動きは見えない。

 ▽国民の怒り、力に
(ここまで 868文字/記事全文 1420文字)

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  •  2019年夏の参院選で河井克行、案里夫妻が100人に計2901万円を配ったとされる買収事件では、選挙に絡んだお金のやり取りが浮き彫りとなりました。令和の時代も変わらない「金権選挙」。皆さんの地域でも耳にしたこと、目にしたことはありませんか。体験、情報、意見をぜひお寄せください。(中国新聞「決別 金権政治」取材班)

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