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ワクチン・ラプソディー

2021/6/15 6:50

 コロナ禍での流行語の一つに「人流」がある。繁華街を行き交ったり、都心と郊外を往復したりする人の流れを指すが、「物流」とは違って広辞苑に載っていない。何だか人を物扱いしているようで、私たちも紙面で頻繁には使いたくない▲それでも感染拡大を防ぐには人流を抑えるのが肝心だと専門家が言えば、なるほどと思って記事にしてきた。なのに政府は先日から、東京と大阪のワクチン大規模接種センターでの予約対象を全国の高齢者へ拡大した▲首都圏と関西圏だけでは予約枠が埋まらない。それが理由らしいが、どうも釈然としない。「Go To 予防接種」で都心の人流をあえて増やし、東京五輪で観客を入れても大丈夫だとの感触を得たい―。そう勘ぐりたくもなる▲予約枠の空きはワクチンがやっとのこと確保できた表れとも言えるだろう。わが国も含めた先進7カ国が発展途上国への10億回分の支援で合意したように、治療薬も含めた世界的な「薬流」こそ、流行語になればいい▲自前で製造技術を開発し、その技術を途上国へ広めていく。わが国はこの先、そんなワクチン外交でも貢献したいところ。むろんその前に、ドタバタ接種は今回限りに。 

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