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G7サミット 対中国、足並みそろうか

2021/6/15 6:50

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)が2年ぶりに対面で開かれ、香港の民主主義抑圧などに関し、中国を強くけん制する首脳声明を採択して閉幕した。

 米国第一主義を掲げたトランプ米前大統領によって、G7の存在意義は揺らいでいた。2年前のサミットでは、包括的な首脳宣言をまとめられない事態にまで陥っていた。

 バイデン米大統領の登場で、多国間の枠組みに否定的なトランプ路線と決別し、G7は結束重視に回帰できたといえよう。

 気候変動をはじめ地球規模の課題解決には、国際協調が必要だ。G7がその先頭に立つことが求められよう。そのため、中国の国際ルール違反に毅然(きぜん)とした態度で臨むことが一層必要となっているのではないか。

 各国の姿勢には、ばらつきがある。厳しい態度の米国に比べ、貿易面でのつながりの深いドイツなどが慎重な姿勢を示すのも無理はなかろう。足並みをそろえていくためにも、徹底した話し合いが欠かせない。

 中国へのけん制はG7首脳声明でも目に付く。初めて台湾海峡に言及し、両岸問題の平和的解決を促すことを盛り込んだ。

 それだけ、傍若無人にも映る近年の中国の振る舞いに対して国際社会が厳しい目を向けている証しだろう。「中国に触れたがらない首脳もいた3年前に比べ、大きな変化があった」。米国のある政府高官の言葉が状況の激変ぶりを物語っている。

 背景にあるのが、中国による香港の自由弾圧である。国際社会の反発を甘く見て、中国政府は、越えてはならない一線を越えてしまったのではないか。

 香港が英国から返還されたとき、今後50年間は高度の自治を保障する「一国二制度」を守ると約束していた。国際的公約のはずが、逆らう者を排除するため、簡単にほごにした。これでは国際的信頼は地に落ちよう。

 新疆ウイグル自治区でも、大規模な強制労働や収容所などが問題視されている。少数民族の人権や基本的な自由を踏みにじることは許されない。中国はまず、国際社会による調査を受け入れなければなるまい。

 中国は台湾への野心も隠していない。武力による侵攻も辞さないと見る専門家もいる。度を越した軍備増強や、東シナ海・南シナ海での強引な進出を見ると杞憂(きゆう)といえるのか。疑問だ。

 そんな「野望」を持つことは許されないと、G7が中心になって中国を説得しなければならない。武力衝突を避けるため、国際的な結束が急がれる。

 経済分野でも、巨大経済圏構築に向けた中国の「一帯一路」に対抗し、G7は発展途上国のインフラ整備を支援する新たな構想で合意した。ただ、一帯一路にはイタリアも参加しているなど、G7も一枚岩ではない。

 サミット閉幕後の会見でフランスのマクロン大統領は「G7は中国に敵対する集まりではない」と述べた。中国との協力が必要な分野も多いというのは、まさにその通りである。

 何より温暖化対策。中国だけでG7の合計を上回る温室効果ガスを排出している。中国抜きでは効果的な対策は打てない。

 日本は、中国との歴史も経済的なつながりも深い。粘り強く対話を重ねて責任ある振る舞いをするよう、積極的な役割を果たさなければならない。

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